「サワダツナヨシ、あんたを殺すのはこれで止めだ。普通なら有り得ないことだけど、普通じゃない奴らと知り合いでよかったじゃん?」
「あ、はは……そもそも知り合わなきゃ、殺されることもないんだろうけどね……はは」
「つーくんしっかり!戻ってきてよう!――と、とりあえずご依頼通りにふたりが明日からでも通えるようにしたよう。ちょっとボンゴレの力も借りちゃったから、つーくん殺すのは絶対なし、なんだから!まあこれだけ《ぼくたち》みたいのが、ここに集まるとそろそろ……うん」
「? どーしたんだいミオちゃん」
「ううん、何でもないかなー。まあなるようになれ、って感じ」


笑顔で誤魔化す彼女に疑問が残ったけれど、まずぼくたちが考えるべきなのはさっき鳴ってしまった午後の授業のはじまりのチャイムと出夢くんが壊した屋上の床についてだと思う。……これ、彼が怒るんじゃないのか、風紀委員長。それに気づいた綱吉くんはちょっと青くなっていた。原因の出夢くんは相変わらずぼくにくっついてひとしきくんを煽ってはニヤニヤしてるし、部外者がここにいることを知ったら逆に怒りそうだから、謝りにいかせられないじゃないか。…仕方ない、ここは綱吉くんに犠牲になってもらうしか「よしいろは、お前が雲雀んとこ行ってこい」……あれ?


「多分雲雀も屋上の騒ぎにそろそろ気づくはずだぞ。だからここに来る前に、こっちから自首して罪を軽くしてこい」
「それってでもぼくに死刑宣告出てるよね?ぼくみんなと違って、風紀委員長と渡り合えるような非常識人間じゃないんだけど」
「なに言ってんだ、いろはお前には暴力なんかより有効な武器があるだろ。――その得意の戯言とやらで、雲雀を黙らせてこい」


「これがツナの大地の守護者としての、初仕事だぞ」と言ってニヒルに笑うリボーンくんに、どうしてもぼくは潤さんと同じものを感じてしまった。


「ちょっリボーン!わざわざいろはちゃんに行かせなくても、お前が行けば済むことだろ!雲雀さんお前のこと気に入ってるんだから!!」
「オレにはもうやることがあるんだぞ。いろは、このまま雲雀に話にいくのと逆上してやがる匂宮出夢に依頼したファミリーに突っ込んでいくのどっちがいいんだ?」
「………大人しく、行きます(ちっちゃい潤さんだ…!)」


確か、風紀委員が使用しているのは応接室だよね。応接室ってどこにあるんだか、覚えてない。よしひとしきくんを連れて行こう。

「おー、連れてってくれんのはうれしいけどいーたん。オレもわかんねーよ?」
「まじか………じゃあ、」
「……オレが連れてってやる」
「え、ごくでらくん……?」
「おい山本、10代目をその間頼んだぜ!」
「! おうっ任せとけって!次からは授業でんだろ、ツナ」
「あ、うん」
「10代目、おそばを離れることをお許しください!多分匂宮のあとは、誰も襲撃してこないとは思いますが、気をつけてくださいね!」
「うう…わかった…ありがとう」
「よし、ついてこいいろは、零崎」
「あー!僕も行くっ!!」
「駄目だよ出夢くん。君が行ったら本末転倒じゃないか」
「えー…僕おねーさんといっぱい一緒にいたいなあって」
「あ、いずくん。ならこれからりずちゃんも連れてきて、ぼくと一緒に制服とか見に行こうよ。それなら明日からいろはちゃんと一緒にいられるよう?」
「……ぎゃははっ!それいーじゃん!さっすが僕の親友ってとこかな!」
「えへへまあぼくもいずくんがいろはちゃんにいっぱいくっ付いてくれるとうれしいし!(それに嫉妬するひーくん、はーちゃんって見てて萌え!だからなー!)」
「……ん?悪寒?」
「てことでおねーさん僕行ってくるから!いってらっしゃいのちゅーし…あだっ!!痛いだろ人識と銀髪くん!」
「おいこらいい加減に羨ましいんだよ、いろはちゃんから離れろ出夢!」
「さ、先に行くぞいろは!」
「あ、うん。ありがとう獄寺くん」


獄寺くんに手をひかれ、屋上を出る。後ろからひとしきくんが着いてくるのがわかった。


「本当に良かったのかな獄寺くん」
「あ?」
「綱吉くんから離れちゃったし、授業もサボらせることになるしね」
「ああ…、10代目は少しぐらいオレがいなくても大丈夫ってわかってるからな。山本もいるし、危険はねえ。…授業なんて出なくても平気だ」
「へえ、なんか随分と綱吉くんと山本くんのこと信頼してるんだね」
「!? 10代目は確かに信頼しているけどっ!……いや、山本の野郎も認めてる…それに、」
「それに?」
「……いろはのほうが危ねーだろ。女ひとりで雲雀んとこ行くとか、いかせられねーよ!」

ふい、と向こうをむいてしまった獄寺くんの表情は読み取れないけど、……獄寺くんも、そういえばイタリア人なんだよね。女の子に対する気遣いとかが素晴らしいとちょっと感動してしまった。


「……じゃあそう思ってくれるんなら、やっぱり信頼しているんだよ。なんだかさ、より右腕らしくなったんじゃないかな?」
「! 本当か!?」
「うん。さっきの綱吉くんへの声かけとかすっごい思ったよ。もちろん戯言じゃなくてさ。偉いね」
「お、おう!」


そういえば手つないだままだ。違和感がないから放っておいたけど獄寺くんは気持ち悪くないだろうか?なんて考えてたら、左側にひとしきくんが追いついた。身長的には一番小さいけどぼくより足速いな。やっぱりこれが男女の差ってやつか?まあこれこそ戯言だけど。だって潤さんとか音々さんとかどうするんだ。


「獄寺ずるい!オレもいろはちゃんと手つなぐからっ」
「ええ!?なんだか廊下で三人手をつなぐ怪しい人になっちゃうじゃんか」
「じゃあ今すぐその手離せよ?」
「う…ぐ……だ、駄目だっ!」
「へ?獄寺くん?!」
「仕方ねえから零崎も手つなげよ。誰もどうせ見てねーだろ!」
「かははっ授業中だしな。とりあえずオレたち傑作だよな」
「いや戯言だろ明らかに」
「(ぎゅー!)(拒否られなかった……!やった!)」
「………まったく」











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