見知った二人組を見つけた。なにやら話しているから戦についてかな、と思ったけれど片方に用があるから話しかけることにした。――直感は大丈夫と伝えているから平気なはず。
片方にばん!と音が出るぐらいに強く肩を叩いてこちらに注意を向けさせる。


「やっほーふたりとも!」
「おや、おはようございます。ミオ」
「っ…痛ってぇえ!!なにしやがんだ、お前!しかも俺だけかよっ、陸遜殿無傷じゃねーか!」
「あははごめんねー!」
「ごめんで済んだら警備兵はいらねーんだよ!!」


若干涙目でこっちを睨んでくる朱然。目が潤んでるから怖くないよ!というか「警察」じゃなくて「警備兵」か、新しいね!それとも古いっていうべきかなあ?


「なにか用があったんですか?」
「うん、朱然にね。朱然、ぼくと組むことになったから」
「は? 訓練かなんかか?」
「ううん。情報収集に乗り出すんだってー。せいちゃんといっちゃんが主なんだけどね、後続部隊でぼくたちそれの補佐だって」


一応ぼくが軍師なんだよ!と告げれば嫌そうな顔で朱然は見てきた。なんだよ、ちゃんと軍師できるんだから!


「朱然だけ、ですか?」
「りっくんは確か別のとこであるみたいだよ。暇そうなぼくたちがかり出されたみたい」
「暇そうってなんだよ!この人の補助とか後始末とか大変なんだからなっ」
「ああそういえば、むしゃくしゃしたんでさっき火矢を放っておきました」
「ちょっとォオオ!?なにやってるんスか!」
「ミオも今度いっしょにやりませんか?」
「は、はは……遠慮しとく」
「楽しいのに、残念ですね…」


り、りっくん!そんな憂いた顔しないで!後ろに花咲いてるように見えちゃうんだよっほら女の子たちが目をハートにして見てるんだよ、ぼくちょっと睨まれちゃってブロークンハートだから!
最近こうやって心のなかで叫ぶことが多くなってきたよ。もしかしてわざとやってるの?りっくんならあり得そう。ぼくだってときめいてしまう。笑顔なんてすごくキュンとくるくらいかっこいい、現代にきたらすごくモテるだろうなあ。
りっくんにまだなんか言ってる朱然も、りっくんとか望ちゃんとは違って綺麗が混じった、じゃなくて男らしくかっこいいし。ううん、無双を使える武将たちは美形が多いのかな?確かにそれに挟まれてるぼくって女官とか女中の女の子たちからすれば羨ましいポジションなのかも。葵ちゃんとかぼくのこと好きでいてくれる女の子ばっかりじゃないもんなあ。あ、ちょっとへこんだ。


「はあ…じゃあこっちも準備できたら呼びにいくから待ってろよ?」
「んー…わかった」
「? どーかしたか?」
「なんでもないよう。じゃあばいばいりっくん。んでまたね朱然」
「はい、気をつけていってきてください」
「おう」


振り向かずに駆け足で去っていったぼくには、ふたりの表情とあとの会話はわからない。


「……なかなかにミオは手ごわいですね」
「ああ……。遠まわしなんですよ。もう直接言ったほうがいいんじゃないスか?どっか遊びにいこうって」
「あれ、それで朱然はいいんですか?」
「はあ?なにをです?」
「……ま、太公望殿もいますし、敵は増やさないほうがいいですかね」


(まあ、本当の敵は気づいてくれないあの子自身ですけどね)









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