ここらはもう片付いたか…。
軽い討伐かと思えば、実際はしぶとい鬼共。だがもう要所は守りきったのだ、大丈夫だと思う。

「ミオも大したことなく終わりそうだな……」

あの少女の指示も、思ったよりもずっと的確でますます笑みがこぼれた。このまま大きな戦にも連れていこうか、そうなったら、流石に護身術ぐらいは身につけさせなければ。またあの呉の娘がうるさいのだろうけれど。



ぞくっ


「っ、………甘いぞ」
「……あーあよけちゃったんだー、残念」
「ずいぶんな挨拶だな、妲己!」
「やあだ、怖い怖い!これくらいいいでしょーう?」

相変わらず喰えない奴。にやにやと笑いながら、隙を見せない。しかし……現れた女狐に疑問を覚える。なぜこやつはここに、こんな戦場へと、来た?


「それで、なんの用件だ??」
「せっかちねぇ。そんな男は嫌われちゃうわよ。
ふふっ…………ねえ、あの女の子ちょーだい?」
「な、に?」
「面白ーい能力ももちろん、人間になんて興味なかったのに、あの子はずいぶんと気に入ってるみたいじゃない。もう太公望さんの弱点ぐらいにはなってるかなあ。


そんな女の子を盗られたら、大打撃でしょう?」



笑う女狐に思わず本陣をみる。
いや、あそこには劉備将軍も、陸遜殿も………


「ああ、ちなみに陸遜だっけ、あの赤い子はこっちに向かってるみたいよ」
「っ!どういうことだ!?」
「あたしがいまここにいるからかなー。そしていま本陣にはかわいい贈り物中…。なかには無力な民とそれを大事に思う劉備さん、少しの兵士。どお、気に入ってくれたー?」
「相も変わらず、悪趣味だな……」
「なんとでも。まあ傷つけさせないから安心しちゃって?さあて、太公望さんの足止めでもはりきっちゃおうかな!」


そういうことか…。ちっ、ミオはきっと劉備将軍を優先するだろう。だが、戦う力を持たないのなら……むしろ、


「………っつ!?」


女狐から目を離さず、陸遜殿に向かって誰かを向かわそうと本陣から意識をむければ、突然炎の柱があがる。



「な、なによ、あれ!」
「なんだと…貴様の仕掛けたものではないのか!」
「違うわよ!女の子を捕獲するまでは派手なことをするなって言ってあるし……」
「ならば、確かめるしかあるまい」
「あ、ちょっと!」


慌てて隙を見せた妲己に、いまだと馬へと乗り駆ける。叫ぶ女狐を置いて、兵達も同じく走らせた。



「無事で、いろ」



(それだけを思って、かけた)









「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -