ときが過ぎるというのはあっという間で。ぼくがこの世界に来てから一週間がたつ。しょうちゃん、いっちゃん、せいちゃんとはこの一週間でかなり打ち解けた。
せんせいの授業も楽しくて。もともとつーくんとは違って勉強はできるほうだし、ある意味ハッキングとか、機械の組み立てに似ていて、こういうの向いていたのかなあ。
まああとはりっくんのおかげでもあるんだけどねえ。午前中はせんせいと、午後はりっくんと勉強することで、けっこう学べることが多い。……スパルタだし。
時折、劉備さまが兵の方々に声をかけているときに出くわして、一緒に声をかけて頂いたりという嬉しいハプニングもあって、みんなとも忙しかったりなんだりで会わない日もあったりしたけれど、なんとかやっていってる。ああでも望ちゃんとだけはちゃんと毎日会えたかー。
彼は、毎日寝る前にぼくの部屋を訪ねてきてくれて、今日あったことを話すぼくの話をおとなしく聞いてくれる。


「あのね、今日は普通にりっくんに褒められたよう」
「ほう?」
「たくさん読めるようになりましたね、だって。怖くないの、珍しいんだから。それからねー」
「…よく毎日話す内容が尽きないものだ」
「だって毎日が新しいことばかりだし、女の子ってこんなもの、だよう」


仕方ないじゃないか、と軽く拗ねてみたら苦笑をしながら頭に手をおかれた。その仕草がまるで子どもをあやすようでまたぼくの機嫌が悪くなるってわかってる?


「そうだったな。…ああ、たまにはそなたの世界の話でも聞きたい」
「ぼくの世界かあ…んーとねえ…」


話せることはいっぱいある。
大好きなお兄ちゃん、そして小さな家族たち、それにちょっと危ないけど楽しい友だちたち。もう高校に行ってしまった先輩たちに、隣町の兄のストーカーとかわいい女の子。なんだかんだいってまるくなった暗殺部隊のみんな。みんなぼくのことは、かわいがってくれてたから、こんな甘えったれに育っちゃったんだよう。


「それでね、そんときにつーくんたちが校庭を壊しちゃって体育の授業はなくなっちゃったんだよう」
「ふ…おもしろい世界だ。いや、というよりはミオの世界は、どこでも色づいているな」
「そうかな?…うん、そうだねえ。みーんなぼくにとっては楽しいことばっかりだったからだよう。コンピューターをいじったり、ひとりで鼻歌まじりになにか作ったりも楽しいけれど、誰かと一緒がいちばん好きだった」
「そうか、」
「だからきみが訪ねてくれることも、助かってるんだよう。ありがとうね」
「………いや、私もそなたと話すのは……有意…いや、これは楽しいと言えるのかもしれない」
「……そっかあ、なら一緒だねえ!」
「………ああ」


仙人さまの感覚はよくわからないけど、楽しいと思ってもらえるなら、すごく嬉しい。みんなでニコニコできるからいいんだ、とある動画サイトみたいに、なんてね!


「ああそうだ。聞きたいことあったんだー。この世界って歌がなんか重要だったり、する?」
「歌……、初めてあったときに紡いでいたようなものか??」
「あ、そっか。こっちでは歌っていうと和歌とかなんだよねえ…。うん、あんなの」


歌いながら作業をしてたらいっちゃんになにかと驚かれたこともあったなー。ついついうたっちゃうんだよう、あくシリーズとか、ね。


「そうだな…、あまり聞かぬが、日の本の国ではないものたちが紡いでいることがある。しかし、雨乞いの儀式などで紡ぐならまだしも、ただ口ずさむものに意味があるとは思わない。また仙界のものが暇つぶしに紡ぐものも……あまり意味がないと思う。ただ音を武器にする者がいると聞いたことがあるからな、そういう者には意味があるのだろう。なぜだ?」
「ううん、ただ不思議な世界だからそういうのもあるのかなって気になっただけ、だよう」


うそ。あの白い龍の言葉が気になった。だけど仙人さまでさえわかんないなら、これから起こることを期待するしかない、かあ……。


「……ふむ。ならばミオ、私はそなたが紡ぐうたに興味がある。もう一度聞かせてもらえるか」
「え……い、いま?」
「ああ」
「普段無意識だから改めて言われると恥ずかしいんだけど………まあ、ひとつ、なら」

色々教えてもらったし、ひとつぐらいはお礼として、かな。あーもう恥ずかしい。
その綺麗な顔を横目に見ながら唄う曲を考える。意味わからないだろう、ボカロとかうたってしまうか。とか考えてるぼくも楽しんでるよねえ……。


「ら、らら、」


ねえ、ぼくのどこにちからがあるっていうんだろうね。









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