ぱちり、と目をあけて思わずまばたきをした。
あれは、夢?でも、リアルすぎた。きっとほんとうだったんだろう。
あの子の感触もなにも、残っている。言われたことだって覚えている。
身を起きあがらせれば、だんだんと現実世界に馴染んできたようで。そんなとき、コンコン、とノックの音が響く。


「どーぞ?」
「おはよーう!ミオ!」
「おはよーう、しょうちゃん」
「こら尚香、朝から飛びつくなんて迷惑でしょう!」
「おはようミオ」
「おはよせいちゃん。いっちゃんも」
「おはようございます。まったく…」
「だってミオがかわいいんだから仕方ないじゃない!」
「寝起きの酷い顔を見ていいますか」


きっとまだ眠そうで、むくんでたりもするかもしれない。全体的にぼんやりとしてると思う。


「あら、そんなことないわよー」
「…尚香、そろそろ離してあげて。ミオが着替えられない」
「あ、そうだったわね。ごめんなさい」
「着替えといっても、ぼく服ないんだけどねえ」


いま着てるのは昨日、しょうちゃんに貸してもらったチャイナ服みたいな寝間着。それ以外に持っているのはいつもの制服。スカートならまだしも、シャツを2日連続で着るのはちょっと抵抗がある。…そんなこと言ってられないか。


「心配いりませんよ。ちゃんと稲たちが用意してきました」
「とりあえず女官の服とか持ってきたんだけど…」
「あーう、あんま動きにくいのは転ぶと思うよう」
「……明らかに動きにくいわね」
「じゃあこれはどうです?ミオは日本人ですから袴とか」
「そっちよりはましだから、大丈夫だとは思うけど……」
「あーあんたちっちゃいし、やめておいたほうがいいかもね」
「小さいは余計だから!」


なんか申し訳なくなってくる。ここには現代人には絶対に着なれない服ばかり。いっそのこと、いま着てる服とかのほうがいいかもしれない。チャイナっていっても、スリットがはいってるあれじゃなくて、ゆったりしたタイプのだし、した、サルエルっぽいし。


「んー男の子の服とかないかなあ。動きやすそうだし」
「ダメよ!そんなのかわいくないじゃない!」
「えぇえ?そんなのいらないよう」
「いるの!だってもったいないじゃない。戦ばっかりで渇いたあたしの心を癒やしてくれる着せ替えに………、かわいこちゃんがいるのよ!」
「いま明らかに着せ替え人形って言おうとしたわね」
「う、うるさいわよ、星彩!いーの、ミオがつまんない格好したら絶交よ、絶交!」
「まじですか………」

それは、困る。
はあ、とため息をつきつつあたりを見渡して、どうにか着れそうな服を探す。
とりあえず今日はシャツを洗濯している間の上をどーにかすればいいんだよう。スカートやブレザー、それにセーターは着続けられるし、下着なんかも何枚かもらえば自分で洗濯できるもの。
三人、主にしょうちゃんが持ってきた服をがさがさとあさってなんとなく現代のインナーに似た服とか、その上に着れそうな狩衣って呼ぶらしい着物。それと現代のブーツに似た靴を探し出し、身につけた。


「……これでいいかなあ」
「大丈夫、かわいい」
「………まあ、よしとしましょう」
「もうっ尚香ったら!ミオ、他にいりそうな服はありますか?」
「んー、この中に着てるようなのと、さっきのボトム…ズボン?ええと着てたようなああいうのも何枚かいただけると嬉しいなあ」
「ええ、用意しておきますね」
「ええ!そんなのかわいくないのに!」
「尚香?」
「わ、わかったわよ星彩……。それにしても、ミオのいる未来の服って不思議ね。絹でもないのに、すごく肌触りがいいわ………綿?」
「とか、化学繊維ーっていってもわかんないよねえ。でも、未来じゃこれが普通だよう」
「下がそんな短くて大丈夫なんですか?」
「まあそこがスカートのいいところ、らしいよう」


たしか隣町の変態が言ってたなあ、そんなこと。


「じゃあ、そろそろ朝食を食べに行きましょう?そのあと諸葛亮殿のところに案内するわ」
「うん、ありがとー」
「ミオかわいいっ」
「はいはい行きますよ」










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