やさしさなんて知らなくてよかったころ

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怖くないと言ったら嘘になる。私はいつだって死ぬ事が怖くて堪らない。だけど戦わなくてはいけない、大切な人を守る為に、大切な場所を守る為に。守る為だったら私は怖くても戦場に向かうよ。そしてたくさん、たくさん壊すの。人だった哀れな者達を。そんな事をしてきた私が、背中を預けるなんてできなかった。私は今までたくさん壊してきた。それは物かもしれないけど、それでも人であったのだ。私たちがしている事は人殺しと同じ。そんな奴の背中なんて、どうして他人に任せられると思うの?私は素直に死を受け入れるよ。謝ったってどうしようもないけれど、私が私なりに考えた償いなの。だからどうか、許して欲しい。貴女に背中を預けないのは決して信頼していないからじゃない。これは私なりの罰の償いなの。だから、ねぇそんな顔しないで。君は悪くないよ。弱い私が悪いの。

「ユウ…、笑って、よ。」
「…」
「これは…私なりの、償い、っなの…」
「…お前、は」

途切れ途切れに紡ぐ私にユウは眉を寄せるばかりだ。可笑しいな、私はずっと前から決めていたのに、こうなる事に納得していたはずなのに、どうして生きたいなんて思ってしまうのだろう。罪を償う為に受け入れた死を、どうして拒絶して、足掻こうとしているの。いや、いやだ。死にたくないよ、ユウ、私もっと君と一緒にいたいの。ねぇ、分かったよ。私は君との思い出が、いつの間にか、かけがえのないものになっていたんだ。もっと、もっと君の側で過ごしていたいの。君と生きたい。君の隣で、私にしか見せない笑顔を見たい。本当はね、ユウに背中を預けてしまいたかった。ユウに全てを任せてしまいたかった。だけどそんなのあんまりでしょう?私の罪をユウにまで押し付けるなんて、そんなの私が許せなかった。ユウ、今なら君に言える気がするの。何よりも守りたくて、何よりも大切な君に、伝えたい事があるの。お願い、私の声、ユウに届いて。ユウに私の気持ちを伝えさせて。君と過ごした日々が、走馬灯のように頭をよぎる。ああ、私やっぱりダメみたい。君に私の弱い所を見せればよかった。もっと君に頼ってしまえばよかった。そしたらこんなユウの表情を見なくてすんだのにね。バカだ、バカだね私。一番守りたかった君を、一番傷つけたね。ごめんね、ごめんね、ユウ。大好きだったよ、君が何よりも大切だったよ。ありがとう。こんな私を受け入れようとしてくれて。ありがとう、私を愛してくれて。私はとっても幸せでした。ありがとう、さようなら、



(どうか君の世界は光が満ちていますように)



100615
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