一万打 | ナノ






僕たちバスケ部は、よくみんなで集まってご飯を食べている。大体は屋上で、ほぼ貸しきりの状態で。他にも多数生徒がいる中で何故そんな状況が作り出せるかは、あえて口にしない。
ともかく゛みんな゛いるのだ。そんな状況の中でいつしかそれは普遍的に行われるようになっていたのだけれど、黄瀬君の呆然としたような表情を見てやっぱりそういう反応が正しいのかと改めて思う。しかしあれには正当な理由があって、まあやり方に何の問題もないと言えば嘘になるが、それすらも仕方ないことだ。そういえばみんな集まって食べるのは珍しく久々かもしれない。委員会やら何やらで忙しかったということもあるのだろうけど。黄瀬君を含めたメンバーでの初昼食は、案外いつも通り過ぎていきそうだった。



「いただきまーす」
「いただきます」
「………」

手を合わせてお弁当の蓋を開ける。そんな当たり前の光景なはずなのに、俺の全身体機能は停止していた。なにがおかしいってまず、赤司っちの足の間になまえっちが座ってることからしておかしい。赤司っちがなまえっちの身体を抱えるようにしながら平然とお弁当を食べ進めていて、なまえっちは時々赤司っちの箸からおかずを食べさせられていた。いやいや、え?

「なまえ君、またお握りだけですか?」
「ん?んー、だから征十郎の貰ってる」
「なまえー、てめそんなんだからちっこいままなんだぞ」
「そうだよなまえちん、もっとお菓子も食べなきゃ」
「敦、お菓子ばかりではダメだからな」

ゆっくりと咀嚼を繰り返すなまえっちは、時折疲れたように溜め息を吐いて赤司っちの方に凭れ掛かっている。その度に赤司っちがなまえっちの口元にお茶を持って行っていて、あれそれ何の餌付けっスか?とツッコみたい気持ちが広がっていった。おにぎりにちっちゃい口でかじりついてるなまえっち可愛いけれども。

「諦めるのだよ」
「み…緑間っち…」
「黄瀬の反応は正しいが、ここにいる限りそんなものは必要とされない。あれが普通だと受け入れてしまうのが楽なのだよ」
「あの緑間っちまで染められるなんて…!なんなんスかあの双子!」
「んー?」
「涼太、少し煩いな。食事くらい静かに取れ」
「は…はいっス!すんません!」

双子というワードに反応を示したらしい2人から一斉に視線を向けられる。赤司っちの呆れたような、それでいて咎めるような声に思わず姿勢を正すと、黒子っちが箸を置いてこちらを見てきた。

「なまえ君は食べるときは食べるんですが、食べないときは本当に食べないんです」
「はぁ…」
「以前それで倒れたこともありますし、またそんなことにならないためにもああして多少無理矢理にでも食べさせているんですよ」
「な、なるほど…?」

黒子っちがいつも通りのくそ真面目な表情で最もらしく説明してくれるけど、でもあの体勢になる意味は?とか口にまで持っていかなきゃいけないのか?とか2人の近すぎる距離に俺の疑問は絶えない。

「涼太、征十郎は俺を駄目人間に仕立て上げようとしてるんだよ…」
「心外だな、なまえ?」
「本当のことじゃん。あともういらない、入らない」
「わあなまえっち顔色悪いっス!」
「…食トレしてるテツヤの気持ちが死ぬほどよく分かる…」

のっそりとした動きで赤司っちの腕から抜け出そうとしたなまえっちは「ぐえ」と辛そうな声を上げてまた元の場所に戻る。よくよく見てみれば赤司っちの腕にがっちりホールドされていた。俺たちが昼食を食べ終わるまでの間赤司っちとなまえっちのそのやり取りは何度か行われていて、ああこれもしかして赤司っちがやりたいからやってるだけかあと多分間違ってはいない結論を導き出す。

「なまえっちも大変スね…」
「まあ、あれで上手くやってますから」
「なまえちんも満更じゃなさそうだし〜」
「そもそも、赤司がなまえの嫌がることをした試しがないのだよ」
「はー、俺たちにもその優しさ分けてくれねぇかね」





(…征十郎)
(なんだい)
(涼太いるんだから、離して)
(僕がそれを許可するとでも?)
(ちゃんと食べるから…お願い)
(却下だ)
(ううう…!)
((赤くなってる…)可愛いね)
(いや、離して…)


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果たしてこれは甘やかしていると言うんでしょうか(真顔)
なんだか不思議な文章になってしまいました…何かありまあしたらお申し付けください><リクエストありがとうございました!!





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