一万打 | ナノ






「こんなところでサボりとは、またいい度胸だな」
「あ゛?…んだよ」

体育館脇の倉庫の扉を引けば、マットの上に伸びる足が見える。声を投げ掛ければ僅かに動いたそれが機嫌悪そうな声を返してきて、思わず鼻で笑ってしまった。

「部活はもうとっくに始まってるが?」

カビ臭いような、独特の匂いの倉庫に足を踏み入れて尚も声を掛ける。普段誉められたものではない噂ばかり聞くそいつは、それでも帝光中バスケ部における一軍レギュラーとしてその身を置いている。いくら実力が青峰とそう変わらないと言っても、練習に出てもらわなければ他の者に示しがつかない。
すぐ隣で煩いほどスキール音が響いているのに、重い扉を閉めればそんな音すら隔絶される。これはいいサボり場だと思いながらそいつに近付けば、怠そうにこちらを睨んでいた。

「テメェ、ズカズカ入ってくんじゃねぇよ。キャプテン様はさっさと部活に戻りやがれ」
「お前が部活に出るならな」
「あーあー、んっとにうっせぇなァ。出ねぇっつってんだろ、いい加減諦めろ」
「……」

ごろりと寝返りを打ったそいつの真横に立ってそのしかめっ面を眺める。虫でも払うように手を振るなまえの腕を掴んで軽く捻ればもう片方の拳が飛んできて、想定内のそれを避けながら一纏めにして頭上で捻り上げた。痛みに顔を歪めたなまえはそれでも睨むことを忘れない。自分の足で身体を押さえ付けて足技をも塞いでしまえば、抵抗なんて出来ないだろうに。

「てっめ…離せ!」
「…俺が直々に勧告すること五回」
「ハァ?」
「紫原に力づくで連れて来いと命令したのが三回、黄瀬に泣き落とせと鋏をちらつかせたのが一回、そしてお前が試合に来なかったのが三回だ」
「それがどうした、あ?いいから離せよ」
「それは無理だな。いい加減に教えてやらないと」
「なにが……ッ!?」
「俺に逆らうとどうなるかを、だ」

掴んだ腕を少し動かせば、なまえの顔が一気に歪む。関節が外れそうで外れないギリギリの所で止めているから当然だろう。鈍い痛みに絞り出すような声が上がった。

「大事な駒だ。傷付けたりはしないさ」
「…ぐ…ッ」
「但し、俺に逆らう奴は許さない。お仕置きだよ、なまえ」

自由な方の手で髪を掴んで噛み付くようなキスを贈る。驚愕に目を見開いたなまえに笑って、その身体に手を這わせた。





「へえ…思っていたよりは堪えるね」
「…ッ…、っ、」
「どうせ外には聞こえないんだから、声出したらどう?」
「う…るせ…ッ、テメェ、ふざけんなよ…!ッひ、」
「ここもイイのか」
「っ、…〜!」

俺の下でびくびくと震えるなまえは、とても初めてとは思えない程敏感に快感を拾っている。いいところを突けば分かりやすく収縮するそこを指でなぞって嘆息した。未だ纏めたままの腕は、俺を殴ろうと構えるように力が入ったままだ。
いい加減に諦めればいいものを、口を開けば反抗的な言葉しか出てこない。その強気な態度は逆に加虐心を煽るだけだとこいつは気付いていないようだった。

「いい眺めだね」
「ッ…くっ、そ…!」
「写真でも撮っておこうか。ああ、動画の方が趣があるかな?」
「なっ、に、考えて…!やッ、ぁ、」
「自分からおねだりするところでも見せてもらおうか」
「はッ、てめ、頭沸いてんじゃねぇの」
「ふふ、いつまでそんな口が聞けるかな」

拘束していた腕を離せば、不思議そうに目を丸くしたなまえが口を開く。それを確認して、脚を肩に引っ掛けて腰を揺らした。

「…ッ…!?やっあッ、なん、っひ」
「…ん…」
「あっう、あ、あ…!激し、いぁッ、や、やだぁ…っ」
「は、…」
「ひっ、うぁ、あっ、ぁ、ッ…―!!」

普段より数段高い声が鼓膜を揺らす。ごり、と奥を擦り上げれば呆気なく達したなまえを無視して突き上げて、痙攣し続けるナカを楽しんだ。最早声が抑えられる様子はない。

「ッ、ひぐ、止まっ…ぁ、やっあぁ!あっあ、」
「く…そんなに締めるな」
「ふぁ、っ、あ、赤司、赤司…ッ!」
「っ…なんだい、?」
「も、やらぁ…ッ、っく、ふ」
「そう言われてもな。…忘れるなよなまえ、これはご褒美じゃない、罰だ」

涙と汗と唾液とでぐちゃぐちゃになった顔を更に歪めたなまえが、必死に俺の名前を呼ぶ姿を見て少しだけ腰が重くなる。つり上がった口元は直りそうになかったからそのままキスをして、唇を噛んだ。

「いっ…ふぁ、ちゃんと、部活、するからぁ…!」
「へえ?」
「あか、し…ッも、ゆるし、っん」
「ん、」

噛んで出来た傷から血が滲む。傷口を抉るように舐めればナカが締まって、とんだMだと思いながらそのまま奥に欲を吐き出した。口の中が鉄臭い。

「…さて、今日の部活は出なくてもいいよ」
「はっ…ッ…」
「明日からは特別メニューだ。遅れたらどうなるか、分かるね?」
「…るせ…さっさと行け、ばか」
「おや。随分な態度だな」

ぐったりとマットに横たわったままのなまえを笑って見下ろす。あちこちに精液が付着していて、中々いい眺めだと思いながら手を差し出せば不思議そうに手と俺の顔を交互に見詰めていた。流石にそのまま帰したりしないよと手を揺らせば、きょとんとして首を傾げる。

「…赤司」
「なんだい?」
「俺今テメェに犯されたばっかなんだけど」
「そうだね。それが何か?」
「んな強姦魔に世話される義理はねぇっつってんだよ!いいから早く失せろ!」
「なんだ、元気じゃないか」
「どこもかしこもイテェわアホ!…ッ、な、」
「だから世話してあげるんだよ。いいから大人しくしろ。主将命令だ」

途端にぎゃあぎゃあと騒ぎ出したなまえに取り合えずジャージを着せて、そのまま抱き上げる。驚いたように身を固くしたなまえに満足して、そのまま倉庫を出るべく足を進めた。俺が出したものが流れ出そうなのか、小さく呻きながら腰を揺らす様子を見つめる。責任はとってあげるよと言いながらシャワールームに入ったら、綺麗な右ストレートが入ってきた。まあ、両手が塞がっていても避けられる程度のものだったけど。



(っざっけんな!ばか!)
(はいはい。…おや。黒子)
(え゛っ)
(はい。なまえ君見つかったんですね、良かったです)
(ああ、明日からちゃんと部活に出るそうだよ)
(へえ…どんな手を使ったんでしょうか)
(それは(うわああああああ!!)…なまえ、煩いよ)
(煩いのはテメェだクソがぁぁああ!!)

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赤司くんに手込めにされる不良主でした。この後何だかんだで赤司くんに逆らえなくなる夢主と最初から自分のモノにする気満々だった赤司様の放送コードギリギリのやり取りが続きます^^^
リクエストありがとうございました!何かありましたら拍手からお願いします><




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