小話 | ナノ



むっくんと室ちんと



「ねー」
「んー?」
「なまえちんは?」
「?」
「なまえちんは、どっちが勝つと思う?」
「…俺にそれを聞くの?」
「んー。ダメ?」
「んー…そうだなあ」

なまえちんはすっげー難しそうな顔して(なんかかわいくない)コートの中を一瞬だけ見た。それから足元に視線をずらす。
ほんとは今日、なまえちんと一日過ごす予定だったんだけど。少し恨めしい気持ちが湧いてきて横を見れば、連れ出した張本人の室ちんは俺のお菓子をつまんでただ笑うだけだった。

「勝って、欲しいな」

泣きそうなくらいに顔を歪めて、どっちに向けたかも分からない言葉に、ああ失敗だったかもと少しだけ後悔した。


(その後なんでもないみたいにいつも通りに笑って飲み物を買いに行ったなまえちんは、きっとまだ、)








「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -