小説 | ナノ





「ん…っ…」
「なまえ、声」
「や…だ、……っ、く!」
「ほら、どうせ我慢できないんだから」
「ひ、ぁ、あ…っ」
「そうそう、上手だよ」

征十郎のしっかりした指が、ナカでくっと折り曲げられる。ついでに抉るように良いところを押し潰してくれるから、喉の奥から変な声が出た。一度口が開くとあとはもうなかなか閉じない。
ぐっぐっと一定のリズムで前立腺を押し上げられて、足首に引っ掛かったままのズボンが揺れた。ひくひくと内腿が痙攣するのが分かる。

「せい、…っふ、ぁあ」
「きもちいいかい?なまえ」
「あ、そこ、ばっかり…!だ、め、ぇ」
「だめじゃないだろう?」
「っひ、ん!」

軽く爪を立てた指でぐちゃりと掻き回されて一瞬頭が真っ白になった。歯を食い縛ってなんとか堪えても、目尻に溜まった涙がぼろりと零れる。見なくても、なんとなく分かる。さっきからきもちいいところばかり攻められて、俺のそこはどろどろに蕩けているだろう。時折赤く腫れ上がった突起に噛み付かれるし、もうたまったもんじゃない。

「なまえ、可愛い僕のなまえ」
「い、ぁ!っあ、あ、」
「ぐちゃぐちゃだね」
「…ひ…も、やだ…指じゃ、イけな、」
「そうかい?そんなこともなさそうだけど」

そんなことを言いながらも抜かれた指に、物足りなさと期待に思わず腰が揺れた。にやりという言葉がぴったりな感じに笑った征十郎の瞳は確かに欲情していて、ごくりと唾を飲む。
ぐずぐずに蕩けたそこに征十郎のあついものが宛がわれて、きゅうと後ろに力が入ってしまった。軽く腰を揺らされて、俺の思考回路は完全にショートする。

「なまえ、力抜いて」
「っ…うぁ…はふ」
「そう、いい子…っ」
「あっ、あ、〜…!」

ずぶずぶと征十郎のが入ってくる。一番太い部分が内壁を抉るこの感覚がたまらなく好きだ。苦しいし、まだ痛みも消えないけど、それも全部引っくるめて、征十郎が一番近くに感じるこの瞬間が好きだった。

「…なまえ、大丈夫かい」
「う、ん…へーき、へへ」
「何笑ってるんだか」
「なんか、嬉し、くて」
「……」

胸にある感情をそのまま、ふにゃふにゃと締まりのない表情で言えば征十郎の表情から色が消える。え、と首を傾げるより先に、受け入れているそこに違和感。

「…っ…!?」
「…なまえ」
「おま、なに、お…きくして、」
「僕も嬉しいよ」
「え…いや…あの、まっ」
「待たない」
「うわ!」

両手で腰を鷲掴みにされる。恐ろしいほどの笑みを携えた征十郎は、そのまま腰を押し進めてきた。
一番奥をぐにぐにと突き上げられる感覚に目の前が霞んでいく。爪先が丸まってシーツを蹴り上げるけれど快感は逃げていってくれないし、むしろ強まってすらいる。口からは意味のない言葉が次々と飛び出しては消えていき、それに呼応するように征十郎の息が詰まっていった。まずい。ほとんど抜き差しされていないけど、弱い部分を執拗に擦り上げられて射精感が高まっていく。瞼を持ち上げてみれば、珍しく余裕なさげに眉を寄せた征十郎の顔が見えた。思わずきゅうと力が入る。

「んっ、あ、ぁ…!」
「っ…く…」
「せ…お、おく、やだ…っ、い、イく、ぅああ、あ」

腰が勝手に揺れてより多くの快楽を拾おうとする。あまりにもきもちよくて、口から飲みきれない唾液が零れるのも構わずに頭を振った。頭がおかしくなりそうだ。前を触られてもいないのに腰が震えてきて、もう、いろいろと限界だった。

「や、っ、…あー…!」
「…っ…!」

ぎりぎりと征十郎の背中に爪を立てながら、征十郎自身の形がはっきり分かるほどに締め付けてイってしまった。びくびくと震える身体は制御がきかない。俺の腰を思い切り掴んだ征十郎は(地味にいたい)一番奥に突き刺したまま達したようだった。まあゴムはつけてるし後始末の心配はない。なんとなく征十郎のが脈打ってるのが分かって、一瞬遠退いた意識が徐々に戻ってきた。

「ひっう…ぁ…」
「っ…は、…はぁ」
「…ぅ…」
「…なまえ」

未だに震える身体を息を乱した征十郎に抱き締められる。視界は霞んだまま焦点が合わなくて、脳みそがふわふわと浮いているような感覚に眉を寄せいっそ瞼を下ろして征十郎の肩に顔を埋めてみた。うっすらと汗ばんだそこは征十郎の匂いがしてほっと息を吐く。自分の出したもので腹の辺りが気持ち悪いが、もう動けるような体力はないので無視することにする。眠い。

「お疲れ様」
「…ん…」
「やっぱりなまえはもっと体力をつけるべきだね」
「うん…」
「まだ寝るなよ、シャワーくらい浴びてからだ。ほら」
「えー…、っんぁ」

前触れもなくずるりと引き抜かれてびくりと身体が揺れる。渋々と瞼を持ち上げて思いきり、これでもかと眉を寄せた。

「ふ、酷い顔だね」
「うるさい。もう、ほんと眠いから…風呂…」
「はいはい」

腕を伸ばして征十郎の首に腕を回せば、そのまま横抱きの形にされる。普段なら全力で遠慮するところだったが、歩く気力すらないため仕方ない。甘んじて運ばれることにする。
もうすっかり普段通りの体温に戻っている征十郎の横顔を見上げながら、明日からテツヤと一緒に筋トレでもするかと思案しつつ目元を擦ったら鋭い視線を向けられた。何かと思えば「誰のこと考えてたのかな」と無理矢理口角を上げたなんとも恐怖心を煽る表情で。思わず笑ってしまえば気を悪くしたらしく、その後暫く口を曲げていたのだった。




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