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弟主
帝光時代




「――くしゅんッ」
「………」

視聴覚室で行われている社会の2クラス合同授業中。大分冷房が効いたここでは席は自由なため、俺は征十郎の隣に座っていた。(ちなみに反対側にはテツヤ、その隣には涼太、前には大輝がいる)
遮光カーテンが引かれ暗くなった教室内で流れる退屈な映像に眠気を誘われていたが、征十郎の妙に可愛らしいくしゃみで瞼を持ち上げ隣を向く。鼻をすんと鳴らした征十郎と目が合った。

「…寒い?」
「いや、平気だ」
「でも、くしゃみしてるし」
「大丈夫だよ。気にするな」
「気にするってば」

ひそひそと小声で声をかける。スポーツマンが身体冷やしてどうするんだと、俺のセーターを脱いで渡す。

「なーに。別にサイズは平気でしょ」
「お前が冷える」
「大丈夫ー。そのかわり肩貸してね」
「仕方ないな…寝るのかい?」
「ん、寝不足だし、眠くて仕方ない」
「おや、夜更かしでもしてたのかな」
「テツヤとメールしてて…ふぁあ」
「…黒子…」

俺の隣ですでに熟睡モードに入っているテツヤのあどけない寝顔に、思わず笑いながら征十郎に寄りかかる。肩に置いた頭からじんわりと征十郎の体温が伝わってきて、もう一度大きなあくびが出た。

「んふぁー…」
「間抜け面」
「うるさい…もうほんとにだめ、寝る…おやすみ」
「涎垂らさないようにね。おやすみ」
「ん…」

体重を預けるようにして瞼を下ろせば、あっと言う間に意識が遠退く。相変わらず流れ続けるつまらない解説の声をBGMに、夢の世界に落ちていった。


(……はっ)
(起きた?もうすぐ授業終わるよ)
(せ…征十郎…)
(なんだい。変な夢でも見た?)
(首が…生首が…!)
(…さっき黒子も同じことを言ってたな)



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