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これの続きで洛山メンバーと和気藹々





朝7時、十分に高く昇った太陽からは厳しい日差しが降り注いでいた。カーテンを閉めたまま身支度を整える。

「じゃあ、行ってくるよ」
「…ん…?」
「昼は一度戻るから」
「ん……うん…」
「いってきます」
「…ってら…しゃー…」

なまえが朝に弱いのはいつものことだ。辛うじて聞こえてくる返事に愛しさを感じながら、布団に潜ったままのなまえの旋毛に口付けて部活に向かうべく家を出た。






「…んん…」

ふわりと意識が浮上して、今何時だろうと携帯を手探りで探す。布団から征十郎の匂いがするのにはもう馴れた。今日は滞在4日目の朝である。

「あー…まだ9時……、あれ…?」

まだ眠っていたいと瞼を下ろすが、ふと征十郎がいないことに気付く。そう言えば今日から部活だって言ってたな。

「朝ごはん作り損ねた…ふぁー」

のそのそと起き上がってキッチンに立つ。クーラーの風を背中に感じながら、違和感に首を傾げた。

「……ん?」









「…メール?」

部活が昼休憩に入り、取り合えずシャワーでも浴びようかと鞄を漁っていると携帯がメールの受信を伝えていた。なまえからのそれを開くと、「終わったら校門きて」とだけ書かれていた。…校門?

「どしたの、征ちゃん」
「いや…少し出てくる」

タオルだけ手に取り、汗を拭きながら校門に向かえば見覚えのある赤い頭。それに加えて、

「やー、なーんか誰かに似てる…」
「……」
「あ、赤司だ!赤司にすっげーそっくり!」
「ぅえっ!?あ…はい、赤司です。あの、バスケ部の方でしょうか」
「んん?うん、バスケ部だけど…赤司ぃ?」
「はい、いつも兄がお世話になって…」
「なに赤司縮めたの!?ヤッベー!お前そんな能力秘めてたのかよ!!」
「え?いや、違…」

「…何してるんだい」

何故か小太郎に絡まれているなまえは、相手のテンションの高さと真昼の暑さに相当参ってしまったようで目を回す寸前だった。声を掛けながら近付くと僕のシャツを握って項垂れてしまう。

「せ…征十郎…」
「あり?赤司いるじゃん」
「当たり前だ、これは僕の弟だよ。…なまえ、取り合えず日陰にでも行こう」
「…クーラー欲しい…」
「弟…?なに、赤司弟いたのかぁ!」
「小太郎、少し静かにね」

元気に喚く小太郎を諌めながらなまえの腕を引き部室に入る。他のメンバーは昼食を食べに行ったようで残っている者はなく、外に比べれば大分涼しいそこでなまえをベンチに座らせた。ちなみにその隣には何故か小太郎が目を輝かせて座っている。

「どうしたんだい、なまえ」
「あー、征十郎お昼ごはん持っていかなかったみたいだから、届けようと思って」
「昼は戻るって言ったよね?」
「えっ」
「朝出るときに言ったんだけど…聞こえてなかったか」
「ええー…なんだ。そっかあ……」

一気に疲労感に襲われて、お弁当が入った袋を脇に置く。朝かあ、全然覚えてないなーと思ったら横から顔が飛び込んできて思わず仰け反った。征十郎の溜め息が聞こえる。

「ねえねえなまえ?君!はじめまして!赤司にこんな可愛い弟いるなんて知らなかったなあー、キミ赤司と一緒に住んでんの?」
「あ、どうも。いえ…夏休みだから、遊びに来てて」
「なるほど!んー、ていうかなんか…カタイ。敬語いらないなー、もっと砕けた感じで話そ?」
「あ、うん…?小太郎、さん、いくつですか?」
「ん?高校二年生!」
「先輩にタメ口はちょっと」
「真面目だなー!」

けらけらと軽快に笑うその人は、バスケ部二年生の葉山小太郎さんというらしかった。執拗にタメ口を要求されたが、流石にそれは抵抗があったので(どうして征十郎が敬語無しに話せるのか分からない)名前を呼び捨てにすることで許してもらう。それにしても元気な人で、思わず頭を撫でたくなってしまった。

「昼メシ持ってきただけってのもねー。そーだ、一緒に食べよ!」

ね!と背中を叩かれ困惑するも、シャワーを浴びに行ってしまった征十郎には助けを求められない。すぐ帰るんでいいですと一応断ってはみたものの、その猫みたいな愛らしい目で見つめられてしまえばそれ以上振り切ることは不可能だった。仕方なしに、自分の分の昼食を買うため売店へ案内してもらう。



「おかえり、なまえ」
「あらぁ、この子がなまえちゃんね!」

「…なんか、増えてる…」

小太郎に引っ張られるようにして部室へと戻ると(ていうか今更だけど俺部外者なんだからな)なんだか大きくて言葉遣いが不思議なおに…おね…おにいさん?がいた。美人だ。わりと俺好みの。
ほう、と一瞬見とれると、征十郎からものすごい笑顔を向けられたので思わず小太郎に隠れてしまった。

((にしてもやっぱりみんな大きい))
(あり?なまえー?)
(あらぁ、びっくりさせちゃったかしら)
(大丈夫だよ。ねえ?なまえ?)
(…ご、ごめんって…)



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