2.こっそり笑った帰り道



綺麗な猫目な男の子。彼が私の方に飛んできたバレーボールをあっという間に弾いてしまった。私は驚きのあまり彼を見上げて固まってしまう。

一方で、男の子は私から視線を外すとボソボソと何かを言った。

「え?」
「……ダイジョウブ?」

男の子は相変わらず私と目を合わせずに声を掛けた。どうやら、私の心配をしてくれているらしい。

「あ、うん。一回で聞き取れなくて、ごめんね。それからボール弾いてくれて助かったよ。ありがとう。」
私はゆっくりと立ち上がった。手元に転がっていたボールとスクールバックを拾って汚れを払う。
「そもそも、バレー部が飛ばしたボールだから。」
そっけない返答ではあるものの、言葉に棘は感じられなかった。不器用なだけなのだろうか。私は言葉の代わりに彼に笑顔を返した。

「君。大丈夫か?」
「あ、うん。大丈夫です。」

今度は奥からタッパのある男の子がコチラに声をかけてきた。トサカのような髪がなんというか、特徴的だ。この髪型はセットしているのだろうか。

「良かった。レシーブで返したボールが、そっちいっちゃってさ、ごめんな。」
「練習中に通りかかったのは私だし、気にしないで。」
「そうか。というか、んー、君どこかで見覚えがあるな。」

タッパのある男の子が私の顔を覗き込むように目線を合わせてきた。私も女子にしては身長はそこそこあるのだが、彼は恐らく180センチ台はあるだろう。

「クロ、ウザ絡みやめなよ。」
先程ボールを弾いてくれた男の子が、背の高い男の子を咎めるように声をかける。
「ちげえって!そういうんじゃねーから!なんてか、誰かに似てるって言うか。俺ら小学校の時に会ったことねえか?」

彼の言葉に私は頭をひねる。彼のトサカ頭を見上げて、昔出会った少年に面影が思い行き当たる。

「あ、もしかして鉄っちゃん!?」
「おー、やっぱそうじゃん。ナマエだろ。小学校以来か。こっち戻ってきたのかよ。」
「うん。高校からね。」

見慣れたトサカ頭は小学生の時に一年ほど仲良くしていた黒尾鉄郎だった。昔は皆んなから鉄っちゃんて呼ばれてて、私も例に漏れず彼のことをそう呼んでいた。

「あ、ミョウジさんじゃん!」
立ち話をしていた私達が気になったのか、今度は別の子が私たちの様子を観にきて声を掛けてきた。色素の薄い茶髪が特徴的な男の子。彼のことは知っている。
「夜久くん。久しぶりだね。そういえば、夜久くん、バレー部だったっけ。」
「ん?夜久とナマエは知り合いなのか?」
「うん。高一の時に同クラだった。夜久くんと鉄っちゃんは同じ部活なんだね。」
「ほーん。ミョウジさん、黒尾のことてっちゃんてよんでだ。仲良いんだなー。」
夜久くんが目を丸くして私と鉄っちゃんを交互に見た。
「え。いや、これは、間違えた。えーと、黒尾とは昔馴染なだけだよ。」
「なんだよ、いーんだぜ。昔みたいに鉄っちゃんって呼べよ!」
「なんかヤダ。絶対に。」

黒尾が胡散臭い顔で私を冷やかす。昔はもう少し可愛げのある奴だったと思うけど、随分と身長だけでなく性格もふてぶてしく成長したらしい。

「黒尾と昔馴染みって事は研磨とも知り合いか?」
「けんま?」
夜久くんから出る聞き覚えのない人物の名前に私は聞き返すことしか出来なかった。

「今、存在感を消して後ずさろうとしてるコイツのこと。」
黒尾が猫目の男の子の肩を掴んで楽しそうに言った。肩を掴まれた男の子の方はウンザリした顔で黒尾をみている。どうやら、先程ボールを弾いてくれた彼の名前のようだ。

「研磨くんって言うんだね。今日初めて会った、と思うよ。」
「俺とナマエは小学校で同じクラスだったから仲良くなったんだよ。研磨は基本人見知りだったし、ナマエは仲良くなってから1年もしないウチに引っ越したからな。」
「そうそう。昔から親が転勤族だったからねー。うち引っ越し多かったんだー。」
「多かったってことは、暫くはこっちいるのか?」

黒尾が私の言葉に問い掛ける。あんまり覚えてないけど、昔会った時によく転勤するってことを話したのかもしれない。

「うん。高校は転入も大変だし、おばあちゃんちに私と弟は住むことにしたんだ。」
「へー、親と一緒に住んでないって大変そうだな。」
私の話を聞いて夜久くんが心配そうに眉を下げた。
「意外と慣れたら大丈夫だよ。ばあちゃんもいるし、両親には連休に会えるしね。」

クロが顎に手を当てて考えるような仕草をする。
「ナマエ、今部活入ってんの?」
「ん?入ってない。」
「なんで?お前昔から運動神経よかったじゃん。」
「高一の時は弟の保育園の迎えがあったからね。すぐ帰ってたの。今は弟も小学生に上がったから迎えも必要無くなったけど。」
「へえ、じゃあバレー部のマネやってくれよ。」
「は?」
黒尾の唐突な提案に私は虚をつかれて情け無い声で聞き返した。

「だって、今何も部活入ってないんだろ?通知書にも部活の事は書いてもらえるし、進学するなら部活入っといて損はないぜ。しかも、3年はインハイ終わって卒業してっから先輩に気遣う必要もないぞー。」
「いや、皆んな途中から入る人居ると気ィ遣うでしょ。」
「あーそれならダイジョブ、ダイジョブ。人出なんて喉から手が出るほど欲しいから。」
「そもそも、私の都合もあるかもしれないでしょ!」
「でも帰宅部なんだろ?」
「まあ。」
「バイトはやってんの?」
「今んとこやる予定はないけど。」
「じゃあいいじゃん。」
「いやよくないよ。久しぶりに会うのに遠慮ないな、黒尾は!」

流れるように私の言葉を言い返す彼に私はチョップをお見舞いした。トサカヘッドがモフっと凹む。

「俺らは途中から入ったとか気にしないよ。なァ、研磨!」
夜久くんが恐らく優しさからフォローを入れてくれる。でも、そこは別に望んでなかったんだよ!

「俺に振る?まあ、人手は増えたら楽だとは思う。練習のたびにドリンク作るのめんどくさいし。」
研磨くんが嫌そうな顔で返答した。巻き込まないで欲しいと顔に出て入るものの、彼からしたら私が入部しようが、しまいが、どうでもいい事のようらしい。

「そうそう!俺達はむしろ入ってくれたら助かるし!」
「まあ。でも、無理矢理は良くないんじゃない。」

夜久くんの流れるフォローに、研磨くんがチラリとコチラを見て言葉を挟んだ。相変わらず無愛想だが、言葉の端に気遣いが感じられた。

「頼む!もうすぐ合宿なんだけど、うちの学校だけマネいなくて不満タラタラの奴いるんだよ。合宿期間だけでいいから、手伝ってくれたら助かる。」
「え、いや。うーん。」

正直なところ別にキッパリと断る理由もなかった。むしろ、熱血なクラスの担任からはナマエも部活に入れ入れと毎日のように圧をかけられるし、体育の先生からは運動神経を買ってか陸上部にうんざりするほどスカウトされていた。ここでマネージャーにでもなれば、先生からのうんざりする誘い文句も上手く断れるようになるかもしれない。それに、普通に部員よりもマネージャーの方が、弟が何かあった際に練習を抜けやすいだろう。だがしかし、初めから部活に入っている人たちの邪魔をしてしまうような気がして、途中から部活に入ると言うのが何となく気が進まなかった。

「おし、じゃあ、これから見学してけよ!折角だから!な!興味出てきたら、やれば良いしさ。」
「え、ちょ、ちょっと。」
黒尾は私の腕をグイグイ引っ張ると、バレー部のコートに私を引っ張っていった。突然現れた見知らぬ人間にバレー部全員からの視線を浴びる。私はぎくりとして黒尾の影に隠れた。

「おーし、皆んなこの人はマネージャー(仮)だー!」
「おおお!?」
「ちょ、まだやるなんていってないんですけど!?かっこかりってなによ!」

慌てて訂正するも部員の子が嬉しそうに声を上げている。そんなにマネいなくて大変だったんだな。あまりの雰囲気に少し怖いくらいだ。

「今日はとにかく見学してもらうから!皆ナマエチャンが入ってもらえるように優しく接するんだぞ!海くん、今日はナマエにルール説明とかお願いしていいか?足の調子あんま良くないだろ。」
「分かった。ナマエさん、よろしくな。俺は海。黒尾と同じ二年だよ。」
「よ、宜しくお願いします。」

私はペコリとお辞儀をして海くんと呼ばれる男の子を見上げた。身長は私より少し高いくらいだろうが、何というかガッチリしてるからか大きく見えた。だけど、怖い雰囲気はなく物腰柔らかな話し方だ。
コートでは黒尾が指示を出して練習の続きを進めていた。どうやら、3対3で練習を行うらしい。

「ナマエさんは、バレーしたことある?」
「うーん。体育でしかやったことないかな。6人でやるスポーツって事と3回でボールを相手コートに入れなきゃいけないってことは分かるけど。私が知ってるのは、それくらい。」
「そっか。じゃあ、ポジションの説明からだな。今日は3対3してるから、ちょっとわかりずらいかもだけどな。」
「ありがとう。」

そうしている間にスパイクが打たれた球を黒尾がレシーブする。今ボール当たった時すごい音がした。なのにボールは綺麗に上に上がってる。すごい。
上に上げられたボールは研磨君の真上に上がって吸い込まれるようにボールを触れた。それからボールを素早いスピードで後ろに上げた。その後ろから、すかさず別の男の子がが相手コートにスパイクを打つ。

「まず、研磨はセッターって言って一番ボールを触るポジションなんだ。今みたいに全体の動きを見て、誰に攻撃をさせるか見極めてボールを渡す役だ。簡単に言うと、チームの司令塔みたいなもんだな。」
「司令塔かぁ。大変そう。」
「そうだな。相手チームに何処にトスを上げるか読まれたらスパイカーが打ちにくくなるし、ブロッカーが近い分、常にプレッシャーもかかるだろうから、頭が切れたりタフな方が向いてるポジションだろうな。」
「なるほどー。」
「それで黒尾はミドルブロッカー。ミドルブロッカーは前衛に出て相手のスパイクを止めたり、相手のブロックを翻弄して攻撃を決めるのが仕事だ。それで、さっきスパイクを決めたのが名前の通りなんだけど、ウイングスパイカーっていう役割。今ボールを打ったのは山本っていって1年のレギュラーだよ。ウイングスパイカーは主に両サイドの位置にいて、スパイクを決めるポイントゲッターとして活躍することが多い。」
「たくさんポジションってあるんだね。」

今度は研磨くんがブロックを惑わせて黒尾がスパイクを上げた。黒尾も絶妙なタイミングでスパイクを売つ。だけど、そのボールを夜久君が綺麗にレシーブを上げた。黒尾が良いコースに打ったと思ったのに、夜久君は先回りしたかのようにボールの落ちる打点にいた。

「夜久はリベロって言って守備専門のポジションを務めている。今は普通にメンバーとして試合してるけど、試合ではミドルブロッカーとチェンジして後衛の守備を務めるんだ。守備専門として何回も入れ替わりできるかわりに、スパイクは打てない。」
「守備専門のポジションもあるんだ。今綺麗に黒尾のスパイク返してたもんね。」

その後も海くんの解説を聞きながらバレーのルールを一から教えてもらう。今まで体育でやった時は役割なんて気にしたことがなかったけど、奥が深いと言うことが分かった。海くんの説明があるお陰だと思うけど、役割や戦略を知ると見ていてとても楽しい。試合はメンバーをローテーションして数回行われた。練習が終わる頃には外はすっかり暗くなっていた。

「おー、帰りどっちだ?」

練習が終わると黒尾が私に声を掛けた。

「三毛駅の方」
「何だ俺ら同じ駅じゃん。一緒に帰ろうぜー。研磨もなー。」
そういうと黒尾は研磨くんの方を振り返る。急に話を振られた研磨くんはギクリと肩を上げて気まずそうにチラリとコチラを見た。あー、私がいるから気まずいだろうな、と言うことが言わずともヒシヒシと伝わってくる。
「いいよ。二人で帰りなよ。久しぶりに会ったんでしょ。」
「こらこら、逃げようとすんな。」

サッサと立ち去ろうとする研磨くんの腕を黒尾が掴んだ。普段は二人で帰ってるのだろうか。私は申し訳なさに断ろうと口を開いた。

「あ、私ならお気遣いなく二人で帰ってくれれば大丈夫だから。」
「こんな時間に女の子を一人で返すわけには行かねーだろ。なー、研磨。」

研磨くんは明らかに面倒臭そうに黒尾を見ていた。クールなキャラかと思っていたけど、意外と表情は分かりやすい。

「じゃあ、一瞬で着替えてくるから待ってろよー。」
「え、いや。いいって。」
「先帰ったら、明日クラスまで文句言いに行くからなー。」

捨て台詞のように言うと黒尾は研磨くんと一緒に部室へ行った。私は溜息をついて近くで待つことにする。一緒に帰るのも気まずいけど、黒尾にクラスに来て騒がれるのもめんどくさそうだ。

二人を待ってると10分もしないうちに制服に着替えてやってきた。黒尾の少し後ろを歩く研磨くんは、やはりどこか気まずそうだった。急に現れて一緒に帰ることになってごめんね。私は心の中で謝った。

「待たせたなー。じゃあ、行こうぜ。」
「う、うん。」
「それで、どーだったよ。バレーは。」

これだけ気まずい雰囲気で飄々と話せる黒尾もすごい。こういう場に慣れてるのだろうか。いや、慣れてるってのもおかしいけど。私は出来るだけ気まずい雰囲気を意識しないように話そうとした。

「すごかった。バレーボールの球ってあんなに早く動くんだね。」
「ハッハー!そうだろ!授業のバレーとは全然違うだろ。」
「うん。それを黒尾がズバってブロックしちゃうのもすごいし、研磨くんのトスもボールが手に吸い込まれるみたいで感動しちゃった。」
「だろー?今日は3対3だったけど、試合はもっとおもしれーぞ。チームによってプレーの仕方が全然違うしな。」
「へー、そうなんだ。それはちょっとみてみたいかも。」
「今度の合宿は全国にも出てる強豪校も来るんだ。日本で5本の指に入るって言われてるスパイカーがいるんだぜ。」
「え、5本の指って、全国で5番目には入るってことだよね?そんな人達と練習できるなんてすごいね。音駒高校のバレー部ってそんなに強いの?」
「まー、正直に言うと監督の力だな。今日は来てなかったけど、猫又監督ってスゲー監督がいるんだ。次来た時に紹介するよ。」
「黒尾の中では次がある前提なんだ。」
「次も来てくれるかなー!?」
「お昼の番組風に言わないで。今の流れで、いいともなんて絶対言わないから。」
「チッ」

黒尾は舌打ちすると悔しそうにしていた。いや、テンション高いな本当に。昔からこんなんだったっけ。研磨くんの方をチラリと見るとウンザリした顔で黒尾を見ていた。対照的にも映る二人だ。

「まー、もし本当に合宿に来たらさ、すげースパイカーが見られるぞ。一番わかりやすいのがスパイクだと思うし、見てても気持ちいいだろうな。」
「そうだね。今日見てたけどスパイクって凄いスピードで飛んでくから、決まると気持ちいいね。あ、でも私はセッターも見てて面白かったよ。海くんの解説があったからかもしれないけど、司令塔みたいに頭使うポジションなんだね。トスあげる時にわざと視線で敵を惑わせたり、あとツーブロックっていうんだっけ?相手の裏を描いて2回目でボール返すやつ!観ててウワー!ってなったよ!」
「急に感想が小学生みたいだな。」
「研磨くん、バレー上手なんだね。」
「別に。俺なんて普通のセッターだよ。」

研磨くんは難しそうな表情をすると、そう答えた。その返答は謙遜でもなく本当にそう思っているように聞こえた。随分と大人びた性格をしている。

「そうなの?私は他のセッターって見たことないから良くわかんないけど。」
「おいおい、黒尾クンは?」
「黒尾もカッコよかったよ。ドヤ顔でスパイクブロックしてたり、それから研磨君に騙されてフェイントにひっかかってたり。」
「オイ!褒めてるようで、かっこいい場面じゃねえじゃねえか!?俺のことももっと褒めろや!?」
「気が向いたらね。」

私たちのやりとりを聞いて研磨くんが小さくプスッと吹き出したのが聞こえた。私は驚いて研磨くんの方を向く。笑うんだ。まあ、そりゃ、当たり前なんだけどさ。

「なーにコッソリ笑ってるんだ、研磨。自分は褒められてるからって高みの見物ですか?」
「そういうウザ絡みが原因なんじゃないの?」
「おい、地味に胸に刺さるようなコト言うな!」

黒尾と研磨くんのテンポのいい会話に、今度は私が笑い声を上げる番だった。私の笑い声に驚いたのか黒尾と研磨くんがコチラをみる。研磨くんは私が視線を二人に移すと、相変わらず私と目を合わせないように素早く目を逸らした。

「二人って本当に仲良いんだね。コントみたいで面白い。」
「じゃあ、マネやれよ。いつでも見れるぞ。なんなら、混じれるぞ。」
「混じっていいんだ。あはは。」
「クロ、さっきからそうやって無茶言うのやめなよ。俺は何となく部活続けてるけど、やりたくない人もいるでしょ。ナマエサンが入りたいのであれば、何も言わないけど。」

研磨くんが溜息をついて黒尾を注意する。先程から、研磨くんは私から目を逸らしたり、気まずそうにしているけど、私が嫌なんじゃなくて普通に人見知りなんだなと理解した。もしシンプルに私が嫌いなのであれば、ここまで私の気持ちを尊重しようとする発言はしないだろう。今まで部活の誘い文句といえば、一方的な勧誘を受けることが多かったけど、気遣うような言葉を言ってもらえるのは初めてのことかもしれない。
正直なところ、今日一日見学していて、もっと試合を見たいなって気持ちは少なからず出てきた。

「じゃあ、今度試合見に行ってもいいかな。」
「マジ!?」「え」
「折角、今日海くんにルール教えてもらったから、もっとちゃんとバレーの試合見てみたいなって思ったの。あ、でも、勿論迷惑じゃなかったらだけど。」
「迷惑なわけあるか!来るの楽しみにしてるぜ!」
「え、クロが言い過ぎて無理してるんじゃない?」
「何だと!?そんなことねーよな、ナマエ!」

研磨くんが怪訝な顔でクロを見上げた。クロは張り合うように私に同意を求めた。気持ちいいくらいにテンポの良い会話に私はもう一度笑いが溢れた。きっと、この人達とずっと一緒にいたら楽しいんだろうな。

「うん。大丈夫。私の意志でもっとバレー見てみたいって思ったんだ。」
「ほーれ見ろ!無理矢理じゃなかっただろうが。」
「まあ、黒尾のウザ絡みがウザいのは間違いないけど、音駒のバレーが試合ではどんな感じなんだろうってのが気になるのと、研磨くんが言う普通のセッターが本当に普通なのか気になるってのが本心だよ。」
「おい、うざいとか言うな傷つくでしょーが!」
「はは、ごめんごめん。」

二人と話しているとあっという間に最寄り駅まで着いた。私は二人とは駅と反対方向に家があるので駅で別れた。
家に着くまでの帰路で私は二人のやり取りを思い出してこっそりと笑い声を上げた。

20220822
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