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ひとしきり泣いて、幸村に抱きしめられているという状況に対して恥ずかしくなってきた。
20歳のいい大人が何してるんだ。
ありがとう、と呟いて幸村から離れる。

「名字さんがこの世界に残るってことは、皆に内緒にするのも面白そうだ」

「幸村くんって性格悪いよね」

「ふふっ、ありがとう」

「褒めてません」

「決勝戦の次の日普通に部活あるから、その時にびっくりさせてやろうよ」

「悪戯っ子の顔してる〜」

結局、決勝戦の日の夜は思春期の男女が一つ屋根の下…と言ったらかなり危なく感じるが、2人で私の家で過ごす事にした。
あとその日を境に体も中学生になるから、最後のお酒を呑むことにした。次に呑めるのは5年後だ。

皆には残るか帰るかは明確には伝えないことにした。伝えないでおいてと幸村に言われたし、こんな風に悪戯っ子みたいに笑う幸村に乗っかってみたいと思ったから。

後はグループで幸村が「決勝戦の日の夜にグループ通話するから参加できる人参加して。23時くらいからね」とメッセージを送っていた。

「きっと皆は名字さんが大切だと思ってるよ。皆のびっくりした顔が並ぶの楽しみだな〜」

「幸村くん、ありがとう」

「なんてことないよ。こちらこそ、ありがとう」

▽▲▽


夏の日差しが照りつける中、立海対青学の戦いが始まっているが、リョーマの姿は青学ベンチにはやっぱり無い。

S3の手塚と真田の試合が終わり、今はD2の試合なのだけど、これ以上見ていられない。
赤也が誰かを傷つけている姿は見たくないし、好きなキャラが傷ついている姿を直接見るにはツライものがある。

悪魔化してしまった赤也をそのまま試合に出す立海と悪魔化しそうになった海堂を止める乾はとても対照的で面白いと思ってしまった。
どうしても三連覇をしなければならない立海とテニスが楽しくて努力をしてみんなで優勝を勝ち取りたい青学。
あまりにも対照的過ぎる二校を決勝で対決させた先生は天才ではないだろうか。

そんなことを思いながらちらりとベンチを見ると真田がちょうどリョーマの元へ向かっている姿が確認できた。

これからリョーマは記憶を取り戻して、テニスを楽しむ気持ちを思い出して青学の優勝に貢献するんだ。
どれだけ強くても楽しむ心には勝てないんだ。

終わりが近づいている。