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「他のみんなからはホワイトデー何もらったんだい?」

「普通にお菓子とかだよ、美味しかった」

丸井からのお返しは手作りだったし、赤也や真田からはもらえない(赤也は忘れてそうだし、真田は風紀委員だし)と思っていたんだけど普通にくれた。びっくりした。

「…おまんらほんと付き合うてないんか?」

「は?」

ゲームをしていたはずの仁王が、くるりと振り返っていた。
ゲームはどうしたゲームは。と思ったが、見事に1位でゴールしていた。

「さっきからずーーっと幸せオーラ振りまきすぎじゃ」

「俺からすれば仁王と名字さんの方が付き合ってるように見えるよ」

「それの方がない。」

「ありえん」

「私と仁王が付き合うとか地球が逆回転してもありえない…」

本当にありえない。
かっこいいと思ったことはあったとしても普通に恋愛対象ではない。
仁王の彼女…いや、レギュラー陣の彼女になる子は結構苦労しそうだ。

「テニス部のみんなの彼女になる子はみーーんな苦労しそうだよね。ジャッカルくんは別にして」

「そうだね、」

「認めちゃうんだ」

「だって、俺らはきっと彼女よりテニスを優先しちゃうだろうし、ファンクラブからの嫌がらせとか酷いだろうからそれらに耐えられる人はなかなかね」

中高生の頃は好きな人とすぐに連絡とったり、たくさん会ったりしたいものだからねぇ。
現に私もそうだったけれど、この歳になるとそういうのは無理だと悟った。
もちろん、友人の中には私と真逆の感じ方をしている人もいるけど。

「で、幸村と名字は付き合わんのか?」

「それ俺も気になってたっす!」

「むしろ付き合ってなかったのかよ」

いつの間にかゲームを終えた赤也たちが集合していた。
そういやそろそろ夕方だ、中学生は帰る時間だね。
ちゃんと片付けをしてるのは偉いんだけどきっと柳生辺りがやったんだろう。

「切原くんと柳には去年の合宿の時に言ったけど、好きな人は作らないようにしてるの。だから、付き合うとか無いよ」

「それは、いなくなるから…ですか?」

「その理由がやっぱり大きいかな。友達としてワイワイやるのが私は好きなの。ほら、もうこんな時間だから早く帰って明日からの練習に備えて?優勝楽しみにしてるから」

優勝できないとわかっているのに、楽しみにしてると言う私はかなり酷い人間だろう。
でも、?もしかしたら?の未来に賭けてみたかったんだ。