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08
柳くんがレギュラー部室のドアを開けるとその中には、丸井くんと雅治とジャッカルくんが居た。
なぜ、雅治がいるのにここに連れて来た?
丸井くんとジャッカルくんはあからさまに「やべぇ」という顔をしている。

「や、柳、早かったな!」

「ああ。思ったより時間がかからなくてな。みょうじが話のわかる人で助かった」

なるほど。
私の説得に時間がかかると思って、部室で話をしていたが、思ったより早く到着してしまったようで雅治を部室から遠ざける事が出来なかったんだな。

「なんでテニス部レギュラーじゃない人間が部室に来とるん?」

「そ、れは…」

雅治が私を睨む目が私は大嫌いだった。
中学に入り、テニス部に入部してファンクラブが出来始めた頃からよく見るようになったこの目。
私を遠ざけることが目的なんだと思う。
実際に私もこの目が見たくなくて雅治から遠ざかってたところがある。

この目は何度見ても泣きそうになる。

「俺と精市が用があって呼んだんだ」

「ほう…。でも、部室に呼ぶ必要は無いじゃろ?」

「誰にも聞かれてはいけない話だから、部室に呼ぶのが1番だという話になったんだ。」

「部室にあげていいほど信用していい人物なんか?その子は。」

「ああ。それはお前が1番知ってるだろう?仁王」

「「は?」」

丸井くんとジャッカルくん、その反応が大正解です。
柳くんがかなり危ないラインの発言をしているような気がする。いや、している。
黙っている約束なのに、ちょっとこれはさすがに。

「何のことじゃ?」

「この柳蓮二が知らないとでも思ったのか?幼馴染だろう」

「柳くん?!黙ってる約束だったのに、なんで言うの?!」

丸井くんとジャッカルくんは瞬きをしなくなってしまった。
かなり驚いている様子だ。
そりゃそうだよね、幼馴染にこんな態度とる人間はそうそういないはずだし。
幸村くんには絶対にばれたくないから(絶対に面白がるから)、丸井くんとジャッカルくんにも口止めをしなければ。

「……知っとるとは思っとったけど、なまえに直接幼馴染だと話を聞きに行っとるとは思わんかった」

「この俺が見逃すわけないだろう?まあ、あまり新しい情報などは手に入らなかったが。」

私が柳くんに渡した情報は当たり障りのないものだった。
「もっと何かないか?」と言われたけれど、数年関わっていない私は「みんなが知ってる仁王くん」しか知らなくなっていた。

「小さい頃は仲良かったんだよ」と笑えば、「俺にも幼い頃に仲のいい幼馴染がいたんだ」と笑ってくれた。
その子とは柳くんの転校によって疎遠になってしまったらしい。
あの時は柳くんの話が聞けるなんて思わなかったから、少しだけびっくりした。
柳くんも自分のことを話すことがあるんだ、と。

「このことは幸村くんには黙っててほしい。絶対にうるさくなるし。」

「それはいいけどよ…」

「びっくりしたぜ…でも、俺も女子の幼馴染がいたら絶対にみんなに隠してるなぁって思ったし、仁王の選択は間違ってねぇだろ」

ニコッと笑う丸井くんは可愛くて、弟にしたいと思った。
テニス部の人たちはいい人ばかりで安心した。
幸村くんはまだ信用できないけれど。