俺はあの日の公園に来ていた。

ここで俺は康祐から告白されたんだ。「秀のことが好きだ」って…。
本当は俺が告白するつもりだったんだ。「康祐のことが好きだ」って…。

もう辺りは暗くなっていた。
昼にはない寒さが肌を刺す。ベンチに座っている自分が世界から切り離されているような感じがした。

手の中には今の俺には似つかわしくない紙に包装されたものがある。その中にはあの店で買ったシルバーリングが2つ入っている。

「文字を刻むこともできますよ。」そう言ってきた店員に言うことは決まっていた。

「K&S」
リングの内側にはその文字が刻まれている。

俺は自分で終わらせることが出来るほど強くはないんだ。

だけど、きっと俺が終わらせなくてもこの関係はきっと終わる。終わらせられる。
そう思うと改めて虚しい関係だったと思う。身体をつなげるだけで、愛の言葉も、ましてや想いなんてもらったことはない。

あんなに身体をつなげてきたのにキスすらまともにしたこと無いんだ。

気持ち一つ、つながらないんだ…。

帰ろう。きっとまだ康祐は家に居るだろうから。そして、秀の看病をしてるんだ。そこに行くのは辛いけれど、、、大丈夫、もう決心したから…。

ベンチから立ちあがって家へと向かって足を進めた。街灯に照らされた道が霞んで見える。

康祐は秀が泣いていたらどうやって慰めてやるんだろう。

多分抱きしめてやるんだ。大きな体で辛いことすべてから守るように力強く、ぎゅっと、、、痛いくらいに…。

俺が望んだことすべてを康祐は秀にあたえるんだ。俺には一度もくれなかったものを…。

手は精一杯伸ばしたつもりだった。だけど届かなかった。かすりもしなったんだ。

手に入れたのは偽りの温もりと空虚な日々と、それから悲しい思い出。

ただそれだけ…。
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