携帯を何度見ても時間が進むだけでいつまでたっても康祐からの連絡はない。
「どうしたんだろ…。」
駅の前だから分からないはずはないし、時間もあっているはずだ。康祐は約束を破るような奴じゃないし…。
俺は心配になって携帯に電話をかけてみた。
…ワンコール…。
…ツーコール…。
…ガチャ。
「もしもし康祐?今どこに…」
『舜、お前何してるんだよ!』
「何って、今待ち合わせ場所に、、、」
『こんな秀置いてか!?』
その時俺の中で何かが崩れた気がした。
「康祐、今どこ…?」
『お前の家に決まってるだろ。迎えに行ったらお前は居ないし、秀はこんなんだし。おばさん達も居ないんだろ。早く帰ってこいよ。』
「でも、秀は大丈夫だって…。それに、、、」
『こんなに熱あるのに大丈夫な訳ないだろ!お前秀のこと心配じゃないのかよ!』
なんだよそれ…。約束したの俺なのに。だいたい何で待ち合わせ場所に来ないで家に来るんだよ。
そんなに秀に会いたかったのかよ…。
「なあ、康祐も買いたい物あるって言ってたじゃん。だからさ、今からでも来てよ。」
『お前最悪だな!秀こんなにきつそうなのに。そんなのどうでもいいに決まってるだろ!』
…ピッ…
俺は通話を切った。一緒に電源も落とす。
…ははっ…。
俺、最悪なんだって。
どうでもいいんだって…。
…秀のほうが大切なんだって…。
初めてのデートで、俺誕生日で、ずっと楽しみにしてて、、、
映画も今話題のを2人で見ようと思ってて、買物だって康祐と2人で選んだりしてさ、今日だけでも康祐の『恋人』になりたかったのにな…。
ここでいつまで待っても康祐来ないんだって。
楽しみであまり寝られなくてさ、待ち合わせ時間の何十分も前に来てさ、馬鹿だよな。
あー寒いな。
今日結構冷えるって言ってたもんな。けど、大丈夫って思ってたんだ。康祐が居れば寒さなんて関係ないと思ったんだ。
でも、その康祐がいないんじゃどうしようもないよな。
いま康祐は秀の隣に居るんだ…。
俺よりもずっとずっと大切で愛しくて護ってやりたくなる秀の隣に…。
俺だって護ってほしいのに、ダメなんだって。
秀じゃないとダメなんだって。