「宮本!急げ!」
監督から怒鳴られる。
俺の名前は宮本俊哉(としや)中3でサッカー部に入っている。入っていると言ってもあまり試合に出たことはない。
サッカーが下手なわけではないが中学受験をしてまでサッカーの強豪校に入学したのだ。
思ったよりも周りのレベルが高すぎたのだ。
「はぁ、普通に地元の中学に行ってたら3年にもなってレギュラーになれないなんてなかったのに。」
考えているとボールが飛んで来た。
「先輩〜ボール取ってくださ〜い。」
この気に食わない言い方は、、、振り返ってみると思った通りの人物がにこやかに立っていた。
「ちっ!」舌打ちをしたが聞こえないようだった。
こいつの名前は中村雄介中2の後輩だ。
後輩のくせに態度がでかい理由はこいつがサッカーがうまいからだ。
俺たちの学校は実力主義だから年齢的には俺が先輩だが技術的には俺が後輩みたいなものだ。
こいつだけじゃない。こいつ以外にも後輩で俺よりも、いや、他の3年よりうまいやつはいる。
そいつらは試合に出れない3年は後輩以下にしか思っていないだろう。
俺は思いっきりボールを蹴った。
「先輩力加減もわからないんですか(笑)」
(くそっ!!いつかお前を抜いてやる。)
そう思ったが自分がもう3年ということにきずいた。「もう時間が足りないな。」
小さく呟いて諦めようと少しだけ考えた。
もう今日の練習も終わる。こんな風に俺の中学サッカーもあっけなく終わるんだと思った。
今日の練習でさえあっけなく終わることはないと知らずに…。
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