「康祐、今日も家に来いよ。」
俺は放課後の教室で今日も康祐を誘った。康祐は何も言わずにただ頷いた。
―――
「康祐、今度の日曜日あいてるか?」
行為の後、ベッドに横たわったまま康祐に聞いてみた。
『今度の日曜か…。』
康祐は考えているようだった。そうだろう、だって今度の日曜日と言えば俺の誕生日だった。
それは同時に秀の誕生日を意味する。
きっと、康祐からは誘ってくれないだろうから俺から誘ってみた。きっと康祐は秀を誘うだろうから、その前に俺が取ってしまえばいいと思った。
『秀は彼女とどこか行くって言ってたか?』
「わかんないけど、行くんじゃないか。」
『そうか…。そうだよな。』
康祐はいまだに秀に彼女がいると信じている。それでいて諦められていない。何度身体をつなげても康祐は俺だけを見てはくれない。
『じゃあ、空いてる…。』
『じゃあ』かよ。やっぱり俺は秀には勝てないんだな。康祐の1番にはなれないんだ。
まぁ、自分の誕生日に好きな人と居れるんだからいいか。
「映画見に行こうぜ。ちょうど見てみたいのがあるんだ。」
『ああ、俺はなんでもいい。』
「じゃあさ、ついでに買い物もしていいか?服とかも見たいし…。康祐は買いたいものとか無いのか?」
『…俺もちょっと買いたいものあるからいいぞ。』
「よし、駅前で待ち合わせしようぜ。朝の9時に駅に集合な。」
康祐はしぶしぶながらも頷いてくれた。
本当は待ち合わせなんてする必要はなかった。お互いの家は近いからどちらかが迎えに行けばいい話だ。
だけど、少しでも恋人っぽいことしたかったんだ。きっと康祐は何とも思っていないんだろうけど、これが初めての2人きりのデートだから。
最高のデートにするんだ!って張り切ってた。
それに家に来られたら秀に彼女がいないことがばれてしまうし、、、
俺はまだ康祐に縋っていたかったんだ。