「身長もさ、声もさ、顔もさ、秀と同じじゃん。だから絶対に萎えないと思うけどなぁ。」
だってそうだろ。好きな人と同じ顔の奴が迫ってきて萎える奴なんかいない。そっくりの、、、それでいて本人じゃない奴…。
つまりは、俺…。
『俺は!…俺は…。』
「何だよ。康祐だって秀を抱きたいと思うことぐらいあるんだろ?で、俺はセックスがしたい。それだけでいいじゃないか。」
ゴクリと康祐が唾を飲み込む音が聞こえた。結局は康祐も男ってことだ。
「秀と同じ身体を抱けるんだぞ。」
康祐はいつもからは考えられないほど弱々しい眼差しで俺を見つめていた。
「康祐がしたいようにすればいいさ。」
それが最後の言葉だった。この日、俺と康祐は初めて身体をつないだ。それはお互い初めてで、拙くて、でも俺は幸せだった。
それでいて、悲しかった…。
『…秀!…』
康祐はそう言った。初めて俺と身体をつないで、俺の中に欲望を吐き出す瞬間に康祐はあいつの名前を呼んだんだ。
身体をつないでも、康祐は俺だけを見てはくれなかった。俺の向こうに秀の姿を見ていた。
それから、今まで俺は何度も康祐とセックスをした。康祐から求めてくることは少なかったけれど、それでも俺は良かった。
だって、好きな人に抱かれるんだ。幸せだろ。
幸せだと思いこみたかった…。
本当の気持ちは抑えてればいいんだ。俺が気付かないふりをすればいいんだ。それだけで康祐と身体だけはつながっていられる。
せめてそのつながりを保っていきたい。
これがなくなっちゃったら、俺ってなんなんだよ。
勉強も、スポーツも、芸術も、何も勝つことが出来ない俺がたった唯一あいつに勝ることといえば康祐に対する愛だ。
康祐は振り向いてくれないけどそれだけは勝っている。それを康祐が見てくれないというのなら、俺が持てるのは身体のつながりだけしか無いじゃないか。
仕方ないんだよ。