「康祐、俺としないか?」

『はっ!?何言ってるんだよ。』

「だから、セックスしないかって聞いてるんだよ。俺さ、康祐とならしてもいいかなって思ってるんだ。」

嘘なんだけどな。本当はしたくて、したくてたまらないんだ…。もっと本当のことを言えば康祐に愛の言葉を囁いてほしいんだけどな…。

『俺は遊びでそんなこと出来ない。』

…ははっ…。遊びだってさ。俺本気なのに…。康祐にとっては遊びなんだってさ。

「別にいいだろ。減るもんじゃないし。それに、どうせ秀はお前のこと何とも思ってないだろ。」

康祐は悲しい表情になった。ズキンと胸が痛んだ。きっと俺康祐のことすげー傷つけてると思う。秀のことで、多分俺と同じくらい、、、

だから、縋らせてやろうと思った。俺が身体の関係に縋ろうとしているのと同じように、康祐にも俺との身体の関係に縋ってほしかったんだ。

『そんなことしたら秀に顔向けできなくなる。』

康祐は頑なに俺の誘いを断り続けた。身体すら求めてはくれなかった…。

いけないとこくらい分かっている。虚しいことくらい分かっている。愛のない身体だけのつながりなんて、、、
でも、それだけでも、康祐とつながっていたかったんだ。

秀よりも近く、秀よりも長く、秀よりも深く、つながっていたかった。

「秀は今彼女いるんだぞ。」

嘘だった。秀は今まで彼女なんてつくったこと無かった。ただどうしても康祐に秀を諦めてほしかった。2番目でも、、、フラれた時の保険でもいいから康祐に選んでほしかった…。

『舜、それ本当か?』

「ああ、この前家に連れてきたんだ。」

康祐はがっくりと肩を落とし再び口をつぐんで黙り込んでしまった。

「康祐、俺たちが何をしたって秀は何とも思わないって。お互いさ、好きな人が出来るまでの仮の恋人ってことでいいじゃん。」

『でも、好きでもない奴とそんなことできない。舜も好きでもない奴とそんなことしないほうがいいだろ。』

康祐の言葉が心に刺さった。やっぱり俺は『好きでもない奴』なんだ。それに、康祐勘違いしてるよな。好きじゃないのは康祐だけだよ。

俺は康祐のことがたまらなく好きなんだ…。

これだけ言ってるんだからちょっとは気付いてくれてもいいよな。それともあえて言っているんだろうか。
康祐は優しいから遠まわしに俺を突き放しているんだろうか。

どちらにしても俺にとっては残酷なことだ。

俺がどんなに頑張っても、俺がどんなに想っても、お前は秀のことしか見ていないんだろ…。

「なぁ、俺、秀と同じじゃん。」

今まで嫌だったのに…。今まで同じにされて比べられるのが嫌だったのに、、、「舜」として認めてほしかったのに…

このとき俺は秀になりたかった…。秀と同じになりたかった…。
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