ゆっくりと時間が過ぎていく。スローモーションになったように康祐の唇の動きが見える。

『俺、ずっと好きだった。』

不意に涙がこぼれそうになった。泣きそうになった。今までずっと待ち望んでいた言葉が、大好きな人から伝えられる。
いっそのことこのまま康祐に抱きついてやろうかと思った。

だけど、、、

『小さいころから、ずっと秀のことが好きだったんだ。』

聞き間違えだと思った。だってあいつと俺の名前は似てるから。ただちょっと聴き取り辛かっただけだと思った。

…そう思いたかった…。

だけど、康祐は確かにこう言った…。

『ずっと秀のことが好きだったんだ。』

…出口を見つけたはずの俺の積った想いは再び出口を失った…。

『俺、小さいころからずっと秀のことが好きで。でも、こんなのおかしいだろ?だから、ずっと言えなくて…。それでも近くに居たくて…。』

そっか、、、だから俺なんかと一緒に居たんだ。俺と居たら秀も大体一緒に居たもんな…。

『中学に上がったら秀は生徒会なんて入って一緒に帰れなくなったし。』

そっか、、、だからうちに来てたのか。康祐は自分の家に来られるのが嫌だったんじゃない。うちで待っていればいつかは秀が帰ってくるからな。

『俺にとって秀は特別なんだ。』

そっか、、、だからあの時俺が秀と比べられるのを聞いて庇ってくれたんだ。康祐にとって俺なんか比べ物にもならないんだろ…。

『舜と秀は違うんだ。そんなの関係ないだろ。』
あの時康祐は言ってくれたよな。でもそれはどういう意味だったんだろうな…。きっと俺を庇ってるんじゃなく、秀を庇っていたんだろうな。

俺みたいな出来そこないと比べられる秀が可哀相で。

『舜、ごめんな。今まで隠してて。』

うるさい。やめろ。謝ったりするな。

謝ってるくせに、そんな幸せそうな顔するなよ。そんな笑顔を俺に向けるなよ。

いっそのことずっと隠してくれればよかったのに…。

『なんか話したらすっきりしたな。あっ、そういえば舜の話聞くんだったな。舜も男のこと好きになったのか…。どんな奴なんだ?』

俺は唇を噛んで、溢れ出してくる涙が流れてしまわないように我慢した。

それとともに想いが流れ出てしまわぬように…。
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