「あっ、、、康祐…俺…もうイキそう…。」

「舜、俺も…もうイキそうだ…。」

そして二人はほぼ同時に欲望を吐き出した。情事のあとの虚脱感が二人を襲う。乱れた呼吸のままベッドへと倒れこむ。
お互いの体温を直に感じることができる。そんな時間が愛おしかった。

少し汗ばんだ肌同士がくっついて心地よい。

「はい、康祐。ティッシュ。」

『ああ、ありがとう。』

俺の大好きな人。武知康祐(たけち こうすけ)。

『じゃあもう行くから。じゃあな舜。』

「えっ、もう行くのか?もうちょっとくらい居てもいいんじゃね?」

『いや、もう時間無いから。』

「そっか、それなら仕方ないな。じゃあまた明日な。」

康祐はそのまま服装を正して部屋を出て行った。見送りはしない。
だって俺はまだこの快感の余韻に浸っていたかったから。それに、康祐はそういうのを嫌いだってことを知っているから。

俺、相馬舜(そうま しゅん)と康祐は小さいころから知っている、所謂幼なじみってやつだった。
俺は小さいころから康祐のことが好きだった。そして、今ではこうしてセックスをするまでの仲になっている。

俺はそれだけで満足だった。

別に康祐が愛の言葉を囁いてくれなくてもいい。キスをしてくれなくったっていい。康祐が俺のことを愛してくれなくても、、、身体だけの関係でもよかったんだ。

まだ少しだけ康祐の体温が残っているベッドに顔をこすりつけた。さっきまであんなことをしていたのか信じられないくらい周りはひっそりとしていた。

その時、2階に上がってくる足音が聞こえた。その音で一気に幸せの頂点にあった心が堕ちてくる。

その足音は部屋の前でぴたりと止まった。ドアがノックされる。

『入るぞ。』

返事をしないうちに呼びかけた本人は部屋に入ってきた。大嫌いな顔が入ってくる。といってもはたから見れば、同じ顔なんだろうけど…。

「なんだよ。」

俺の恰好をみてそいつはため息をついた。そんな仕草にもいらいらする。
俺の大嫌いな奴…俺の実の双子の兄、相馬秀(そうま しゅう)は呆れたように部屋の出入り口に立っていた。



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