――……大好きだった……。
憧れだった。自慢だった。尊敬してた。
頭もよくて、運動もできて、顔もよくて、絵もうまくて、声も奇麗で、
どんな形容詞をつけても足りないくらいにアイツは完璧で。
俺と血肉を分けた双子の兄弟とは思えないほどに、、、
そう、すべては「だった。」
つまりは過去のこと。
いつからだろうか。
アイツに向けられる称賛の言葉が、尊敬の眼差しが、
俺に向けられる失望の言葉が、叱責の眼差しが、
たまらなく嫌になっていったのは…。
よく考えれば最初から分かり切ったことなんだ。
俺にはできなくて、アイツにはできる。
俺は求められなくて、アイツは求められる。
何でもないそんなこと。
でも、俺にだって求められたいことくらいあったんだ。
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