それから俺は何度もあの図書館へと足を運ぶようになった。
そしていつも同じように適当に本を手に取り机に着きページをめくっていく。

しかし、いつも注意は周りに向いていて、目であの人を探していた。
あの日以来も少し話はしたが別にそれだけだ。進展もしていない。

?ふとその時思った。『進展』?なんのだろう…。あの人と親しくなること?それとも、、、

自分の気持ちが分からない。いや、自分の気持ちを無意識のうちに否定しているのかもしれない。
だってあの人は、、、

館内に12時を知らせる音楽が流れた。そうだ、今日は休日を利用してここにきている。
昼はどうしようかと考えていると後ろから声がかけられた。

「君、また勉強?偉いね。昼まだだろ?おごるからそこのファミレスで一緒に食べようか。」

「えっ!?でも悪いし、、、」

「いいって!勉強頑張ってる君に俺からの差し入れってことで。」

「ありがとうございます!」

「よし、じゃあ決まりだな。ちょっと財布とか取ってくるから待ってて。」
そう言って東司さんは事務所らしき場所に走って行った。
俺は図書館の出入り口の所で待っていた。

(俺何したいんだろう、、、東司さんとどうなりたいんだろ、、、)
自分の気持ちが分からない。いや、気づきたくないのかもしれない。この気持ちに、、、

「待たせたね、行こうか。」
東司さんが後ろから走ってきた。俺は「はい。」と応えて2人並んで歩いた。

俺の頭は東司さんの肩ほどにある。俺の背が低い訳ではなく東司さんの背が高いんだ。

その高い肩越しに整ったきれいな顔がある。優しさが滲みだしているような顔だ。
俺が見とれていると東司さんは俺を見降ろして微笑んでくれた。

俺はその表情に見惚れていたのが恥ずかしくてそっぽを向いてしまった。
俺は顔が赤くなるのを感じた。自分がこんなことになるなんて知らなかった。

そしてファミレスに入り席に着いた。お昼時にも関わらず席は思ったよりも空いていた。

向かい合って座る。正面から見るとますます整った顔だ。何歳なんだろうか。

そうだ、俺この人のこと何も知らないんだ。知ってるのは名前だけか、、、
知らない人と俺はなにやってるんだろ…。俺は心の中でため息をついた。





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