「直輝くん、もう私たち別れようか、、、」
「あぁ、わかった。じゃあ今までありがとうな。」
「止めてくれないんだ…。もういいじゃあね。」
そう言うと彼女は走り去ってしまった。
校舎の影でたった今振られたのは西宮直輝(にしみや なおき)この俺だ。
もう何人目だろうか、俺は付き合ってなかなか長続きしない。それは初めて告白された小6の時から中3の今まで変わっていない。
顔は自分で言うのも何だがいい方だ。これまで何度も告白された。しかしそれはいつも相手から振られる。「かまってくれない」という理由で。
俺は付き合った人に対して大切にするという感じがないらしい。自覚はないが…。
それで相手がつまらなくなって別れるという訳だ。
「何か物足りないんだよな…。」
俺は小さく呟いてみた。その言葉は冷たい秋風と共に流れていった…。
その時校舎の方から予鈴が聞こえた。
「やばっ!次体育だ!いそがねぇと間にあわね。」
直輝が走り去った後この校舎の影には何も残っていなかった…。
帰りのHRが終わって昇降口へと向かう。もう3年になった俺たちは部活も引退して放課後はガリ勉の奴は残って勉強したり塾に行ったりしている。
俺はと言うと学校に残るわけでもなく塾に行くわけでもなくただ自分がしたいときに勉強するという適当な生活を送っている。
そんなこんなで今のところ志望校も決まっていない。まぁ成績は中の下位だからいける高校がないなんてことにはならないだろう。
「はぁ〜暇だな。どっか寄って行くか…。」
どこ行くあてもなく俺は歩き出した。
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