良太はあの後一言も喋らずにひたすら自転車をこいでいた。
そんな良太の後姿を見ながら僕は先輩のことを考えていた。
分かれ道が見えた。その道は、右は良太の家へ、左は僕の家へと続いている。
「じゃあ、また明日な。明日はちゃんと話聞けよ。」
「うん、また明日。明日は朝練もちゃんと来るから。」
そう言って僕たちは自分たちの家へと続く道へと歩き出した。
僕は良太と別れると急いで自転車をこいで家へと帰った。
家に着くとドアを勢いよくあけ、2階の自分の部屋へと駆け込んだ。
途中で母が自分を呼ぶ声が聞こえたが聞こえないふりをして、無視をした。
部屋のドアを開け、鞄を放り投げるとポケットから携帯をとりだす。
「新規メール」の欄を選択し、アドレス帳を開く。
「竜也」を選択する。先輩のメールアドレスを聞くためだ。ボタンを押す。ちょうどその時メールが来た。
名前が出なかったので知らない人かアドレス変更のメールだとわかった。メールを開いてみる。そのメールの主は意外な人だった。
「本多貴博です。これからよろしく」
メールにはこう書いてあった。そう、先輩からのメールだったのだ。急いで返信をする。
「こちらこそよろしくお願いします。」
なんだか堅苦しい文章になってしまったが、速く返信したかったので送信ボタンを押した。
押した後も携帯を握りしめる。好きな人とメールをするのがこんなにも楽しいことだとは思わなかった。
少しするとメールが返ってきた。僕の考えを見透かしたような内容だった。
「文が堅苦しいよ(笑 付き合うんだからメールの時ぐらいため口でいいよ。」
受信BOXに同じ名前が溜まっていくのがとてもうれしかった、、、
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