帰り道はいつもより寂しく感じた。木々が暗闇の中に鬱蒼としている。

(先輩…。)

生徒会室で先輩が言ってくれたことは、、、先輩は僕のことを好きだと言った。そして、僕も先輩のことが好きだ。これは確かなことだ。

だけど、、、

僕たちは男同士だし。こういうのはドウセイアイって言うものなんだろうけど、他から見ればおかしいだろうし…。

そんなことを考えながら自転車をこいでいた。すると、良太が隣から話しかけてきた。

「あの先輩と何かあった?」

ダイレクトな質問を急にされ否定も肯定もできなかった。また、良太から見透かされたようだ。また、顔に出ていたのだろうか、、、

「そんなに困ることなら相談ぐらいしろよ。それとも相談できないくらい大変なこと?」

僕は首を縦に振る。とてもじゃないけど、こんなこと誰にも相談できない。

「そっか、それなら無理しなくてもいいけど、1つだけ。起こってしまったら、起こる前には戻れないからよく考えて行動あるのみだと思う。」
良太はやけに真面目な表情で言った。

「名言だね。どっかの哲学者みたい。」
僕はわざとちゃかすように言ったがそれでも良太は真面目な表情だった。

(あぁ、良太は本当に僕のことを見てくれている。)
恋愛感情ではなく、なにか母性のような優しさを感じた。

(そうだ、先輩は僕のことが好きでいてくれているし、僕も先輩のことが好きだ。このことは確かなんだからそれでいいじゃないか。)

僕はちょっとだけふっきれた。これからが大切なんだ。
先輩とこれから何をするのかが大切なんだ。もう、起こる前には戻れないのだから…。


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