近づくとその影の正体はよく知る人物だった。竜也と良太だった。
あちらもこっちに気づきこちらを向いた。
(なんで残ってるんだろう、、、)
「遅かったから帰る準備しといたから。」
そう言うと良太は僕のカバンを差し出した。
「ありがと、、、」
僕は受け取るとポカーンとしていた。こんな事のために残ってくれてたのか。しかも竜也まで。
そんな呑気なことを考えていた。でも、竜也が残った理由は違った。
「?、 先輩も一緒だったんですか?」
竜也が不思議そうに貴博の方を向いている。そうだ、同じ部活でもない先輩と一緒にこんな時間までいるのは明らかにおかしい。
僕が何と言おうか考えているとすかさず先輩が委員が同じで仕事を手伝ってもらったということを説明した。
竜也は納得したのか、「あぁ」と頷いてカバンの中を漁って1枚のプリントを取り出して先輩に渡していた。
監督にでも渡させたのであろう練習日程が書いてあるプリントだった。
「先輩、もう帰りましょうよ。」
竜也が先輩に言った。先輩は困ったような顔をして僕の顔をチラチラと見ていた。
僕もどうしようかと思ったけどさすがに2人がいる前で一緒に帰るなんてことは言えなかった。
「良太、僕たちも帰ろうか…。」
僕の先輩と一緒に帰るという、淡い夢は2人の友人によって阻まれた、、、
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