「ばか、泣くなよ。」
君がそう言って気付いた。いま俺の頬には温かいものが流れていた。
「…泣いてるわけないだろ。欠伸しただけだ。」
そんな分かり切った言い訳をしながら俺は洋服の袖でそれを拭った。
「じゃあ、、、もう行くから。」
君が急に言った言葉に焦って君を見ると笑っていた。君はこの空のように笑っていた。
それが悔しくて、、、俺だけ泣いて負けたみたいで言おうとしていた言葉を飲み込んだ。
あの日の「ごめん。」と……
今日からの「好き。」
遠ざかる車を見ながら俺は声をあげて泣いた。子供のように必死に泣いた。
当たり前だと思っていた。君がいて、俺がいて、2人で中学に行って、サッカーして、お互いに競い合って、、、
けど、ホントはそんなものすぐに壊れてしまう儚いものだったんだ…。
『じゃあ、もう行くから。』
そうだ、君はもう行ってしまったんだ。
『じゃあ、また明日。』じゃないんだ。
君と迎える明日はもう無いんだ…。
君がいない明日はすぐに来て、すぐに終わって、、、
いつしか君のいない残りの夏休みはすぐに終わってしまった。
-END-
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