それから俺たちは気まずくなって練習中も話さない日もあるほどだった。

俺は素直に「ごめん。」ということが言えなかった。

ある日の試合が終わった後、監督から君の転校が伝えられた。

周りが一気にざわついた。その時知った。君は俺にしか転校のことを伝えていなかったことを、、、

俺は嬉しいような悲しいような複雑な気分だった。

帰り道、俺が一人で歩いていると後ろから走ってくる足音がした。
振り返るとそこには息を切らしながら走ってくる君の姿があった。

「お前、帰るの速すぎ。」

俺は何も言わずに歩きだした。君が横についてくる。

「お前とサッカーするのも、もう少しで終わりだな。」
君がふと呟いた言葉が心に刺さった。

そうだ、一緒にサッカーするのも数えるほどしかないんだ、、、

喧嘩なんてするんじゃなかった…。

そう思いつつ未だに「ごめん。」という言葉が言えない自分がいた。

「今週の日曜日に引越しするのが決まった。」

「そっか。なぁ、見送りに行ってもいい?」

そう言った俺に君は輝くような笑顔で「うん!」と言ってくれた。

―――見送りの日はすぐに来た…。

その日は皮肉なほどに晴れ渡っていたのに、車に乗っている君の姿は霧がかかったように少し霞んで見えた。






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