「俺も直輝のことが好きだよ。初めて図書館で見た時から、きっと、、、」

ぎゅっと抱きしめて顔を東司さんの胸に押しつける。そこからは東司さんの匂いがした。
今まで、あのマフラーでしか感じられなかったもの、、、

「直輝、顔見せて。」
東司さんは柔らかい口調で俺の髪を撫でながら言った。でも、、、

「やだ。」

「なんでだよ。顔見せてよ。」

「やだ。俺、今絶対変な顔してる。そんな顔見せたくない。」

「大丈夫だって。笑ったりしないから。直輝、顔見せろよ。」

結局、俺は涙を拭うようにまた東司さんの胸に顔をぐりぐり押し当てて顔をあげた。
見上げるとそこには笑顔の東司さんの顔があった。
それが綺麗で、無邪気で、優しくて、、、俺は見とれていた。
そんな東司さんが言った言葉は今のムードには絶対にそぐわないものだった。

「直輝って以外にちびだな。」

一瞬で俺の恋心は打ち砕かれた。違う意味で顔が紅くなっていくのがわかる。

「うるさい!東司さんがでか過ぎるだけだろ!」
その通りだった。直輝の身長はちびと言うほど小さくはない。(高いとも言い難いが、、、)

それに対して東司の身長は180cm以上あるような巨体だった。それでも太っているわけではなく、体は引き締まっている。

贅肉はなく、筋骨隆々?といった感じだった。それは直輝も疑問に思っていたことだった。
以前、直輝が聞いてみると図書館の仕事は意外に力仕事が多いらしい。

と言うか、力仕事が東司さんに回される割合が高いだけだと思うけど、、、

「俺、クラスで中くらいだし。180以上の人なんてそうそう居るもんじゃないし。」

「まぁいいって。気にするな。俺、ちっちゃい直輝の方が好きだから。」
さらっと言った、東司さんの言葉が恥ずかしくて俺は顔を俯けた。

あの時、つまらないと思った小説と同じような言葉が嬉しくて、恥ずかしくて、それでいて心地よくて…。

今度、あの小説をまた読みなおそうと思った。ちゃんと最後まで読もうと思った。







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