「あの先輩泣いてたな。」
良太は不思議そうに言った。

「うん」
そう、先輩は泣いていた。肩を震わせて…。そんな先輩は見ていて辛かった。
「もう終わったし帰ろうか。それとも竜也待つ?」
良太は立って服についた汚れをはたきながら言った。

「いや、もう帰ろう。」
竜也には悪いけどこれ以上今の先輩の姿を見たくなかった。

「帰りにちょっと店に寄っていいか?」

「ごめん、ちょっと気分悪いから先に帰る。」

「大丈夫か?送って行こうか?」
良太が心配そうに顔を覗き込む。

「いいよ、良太に悪いし。」
今は一人でいたい気分だった。

その後グラウンドを出て別れた。最後まで良太は心配していたが半ば強引に店に行かせた。

帰りながら先輩のことを考えた。いつも先輩はかっこよくて憧れだった。
だけど、今日の先輩を見ていると胸が苦しくなると言うか、圧迫されるような感じがした。

そんな考え事をしているともう家のすぐそばだった。
自転車を止めると一目散に自分の部屋に向かった。部屋に入るとベットに倒れこんだ。
「先輩…。」
裕也はそのまま眠りについた…。


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