想いの先は
「僕、君のことが好きなんだ。」
精一杯出したつもりの声は掠れていて頼りなく消えた。
僕は君の懐に抱きついた。シャツを握るとくしゃりと皺がよる。
君の鼓動がとても近くに感じる。
温かい君の胸にでこを寄せ顔を伏せる。
君の表情は見えない。だけど分かる。
所在なさげに漂う腕が…
抱きしめてはくれないこの腕が…
『俺、、、』
分かっている。分かっているから今だけは、、、
『俺、そういう、、、』
分かっているからその先は言わないで…
『俺、そういう趣味無いから。』
分かっていた。君が僕のことを何とも思っていないことぐらい。
でも、離したくない。想いを伝えたい。
…そう思うのは馬鹿なんだろうか…。
離れていく君の鼓動が、
体温が、
頬をつたう涙が、、、
答えをくれた気がした…。
-END-
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