突然の質問に俺は何と答えればいいのか分からなかった。

谷崎さんの言う『関係』と言うのは俺と将が好きだったというのを見抜いているのだろうか。
それともただ単に、親友としてどのぐらいの付き合いがあるのかということなのだろうか。

俺が答えあぐねていると、谷崎さんは不思議そうな顔をして俺の顔を覗き込んでいた。

『どうしたの?』

「いや、俺と将は小さい頃剣道を一緒にしてて、それから、、、」

それからなんだ…?それから将は何をしていたんだ?将はどんな生活をしていたんだ?
俺は何も知らない。俺が呑気に暮らしている間、将がどんな思いでどんな暮らしを強いられてきたのか知らない。

ただ、知っているふりをしていただけ。

「それから、俺、将のことが、、、好きだったんです。」

自分でも驚くぐらい素直に口にしていた。

『ごめんね、一応確認するけどそれって、所謂同性愛ってもの?』

もう、いいと思った。この人にならいいと思った。

「はい。恋愛感情で将のことが好きでした。」

『だった?じゃあ今君は将君のことをどう思っているの?』

「…今でも将のことが好きです。でも、俺将のこと何もわかってやれなくて。」

そう俺は何も分かってやれなかった。一度子供を捨てた親がどんな人かなんて、、、
将がどんな想いで俺を頼ってきてくれていたのか、、、

俺は分かってやれなかったんだ。

「俺、将のこと護ってやりたかったのに、、、」

『…君は勘違いしているかもしれないけど、何もしないでそばに居てくれるだけっていうのも結構うれしいものなのよ。それに、君は十分将君にとってのヒーローだったと思うよ。』

「は?俺がヒーロー…?」

『そう、ヒーロー。』

谷崎さんは少し笑いながら言った。その顔はとても柔らかで母親のような温かさを感じた。

『将君ね、君の話をすると少しだけだけど笑うのよ。あんな事あったのによく笑えるなって思うの。それって、きっと君が将君のそばに居てあげたからだと思うよ。そして、今でも将君は君を求めているわ。』

…将が、俺を…?

ふとそんな想いがよぎる。将はもう俺のことなんて忘れたい存在なんだろうと思っていた。
将を裏切った俺なんて必要とされる筈がない。そう思っていた。

『今度はこっちからいい?君は将君を本当に助けたいと思ってる?』

そんなの初めから決めている。俺は、はい。と即答した。
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