先生が出て行ったあと、俺はゆっくりとドアを開け部屋へと入った。
将のすすり泣く声がかすかに聞こえていた。
俺、最悪だ。将を見捨ててしまったんだ。分かっていたのに、将が辛いことくらい、、、誰かの助けを求めていることくらい分かっていたのに…。
俺に助けを求めてくれたのに。俺が中途半端な覚悟で護ってやるなんて言ったから。
「…晋也…。」
将が俺の名前を呼ぶのが聞こえた。だけど、その声はとても痛かった…。
俺も話しかけようかと思ったけど、やめた。
俺はまだ何も出来ないと思ったから。ここで俺が手を伸ばしても届かないような気がした。
何が警察官になる、だ。好きな人も見捨てるようなやつが警察官になれるはずがないだろ。
こうして将は今でも泣いているのに俺だけ何食わぬ生活して、、、
最悪だ…。
俺は将の寝息が聞こえてからゆっくりとドアを開け、部屋を出た。
外は相変わらず暗いままで、病院を出ると何もない道を一人で歩いた。
その道は本当に暗かった。
きっと将もこんな道を歩いていたんだろう。いや、もっと暗かったのだろう。
俺がその道を歩ませてしまった。
だから、、、だから、俺が助けなくちゃいけない。
俺が将を助けなくちゃいけないんだ。何をしてでも助けなくちゃいけないんだ。
何をしてでも…。
次は絶対に離さないように…。この手に力を込めて精一杯引っ張ろう。
引っ張って、もう一度明るい所に連れて行ってやろう。
前居た場所よりももっと明るい所に…。
そして言うんだ。もう一度将に、、、
大好きだって、護ってやるって…。
もう一度言うんだ。今度は絶対に嘘にしないように。
そのためにはやらなくちゃいけないんだ…。
将を護るためには必要なこと、、、やらなくちゃいけないこと…。
まずは、、、