どのくらい時間が過ぎたのかわからない。ただ僕はベッドに横たわっているだけ。
結局誰も来ない。誰も来てくれない。

分かっているつもりだけど、、、分かっていたはずだけど、、、

来てほしい人はいるな…。

きっとその人は来てくれないけど。もし、来てくれたら抱きしめてくれるかな…。力一杯ギュって、、、

…いや、例え来てくれても誰かの付き添いだろうな。僕だけのためになんて来てくれない。

もう僕のことを護ってはくれないのだから、、、

でも、、、例え晋也が僕のことを嫌いになっても、僕は、、、大好きだから。

大好きだから…。

この気持ちだけは本当であってほしいな。僕はひとりの人間を好きになれた。愛することができた。
結局はフラれちゃったけど、、、

その時間だけは確かに僕は生きていたから。ほんの1,2年の短い間だったけど、その間は僕が生きていたと言いきれるから。
それだけ残して、僕は今からどうやって死のうか…。

そんな事を考えている時だった。もう開かないと思っていたドアがゆっくりとだけど確実に開いていった。
そこに立っていたのは、毎日のように見ていた人だった。

少しだけ期待したけど、、、ほんの一瞬だけ期待したけど、、、やっぱり君ではなかった。
開いたドアの向こうに立っていたのは学校の担任の先生だった。

「原野、大丈夫か…?」

「すみません、迷惑かけてしまって、、、もう大丈夫です。」

僕がそう言うと先生は言うことがなくなってしまったのか黙ってしまった。

それもそうだろうな。僕なんかとは極力話したくないだろうから。
先生が僕の先生でなかったらお見舞いになんて来ない。ただ、仕事で来ているだけ。

「辛いことがあったら先生に言ってくれよな。それに、、、」

それに…?それになに…?

「塩田も今外にいるんだ。入りにくいって言うから、、、」

そうか、晋也もいるんだ。お見舞いに来てくれたんだ。

残念だな。こう言う時だけ予想通りにいくんだ。君は来ない。一人では、、、

君はただの先生の付き添い。多分僕が一番話しているのが晋也だったから連れてこられたんだろうな。
来たくもない、大嫌いな僕のお見舞いに。

『入りにくい。』
そうだろうな。だって君はこの前僕をふったばかりだから。そんな大嫌いな奴の顔なんて見たくないだろう。

大嫌いな僕なんか、、、

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