ぼんやりと霞んで見えたのは曇りのない壁だった。何もない天井だった。
眼を横流してもそこにも壁はあった。どうやら僕はベッドに眠っていたらしい。
狭いこの空間が、僕が生きていることを実感させた。
本当なら、今頃空よりも高い大きな、広い場所に行けたはずなのに…。
体にチューブのようなものがつながっているのを感じる。
この細いチューブが僕をここに縛り付けたのだろうか。
どうせ僕なんか誰も必要としないくせに、、、
どうせ僕なんかいらないくせに、死んでも誰も悲しまない、それどころか気付いてくれさえしないかもしれないのに。
僕なんか誰の想いの中に居なかったのに、、、
僕がずっとみんなに迷惑をかけてきたから?それとも僕が憎いから?
だから、僕の最後の望みも聞いてくれないの?
だから死なせてくれないの?
このチューブを体から引きちぎってしまえば死ねるのだろうか。
それとももう一度腕を切ってしまえば死ねるのだろうか。
この舌を噛み切ってしまえば死んでしまえるのだろう
か、、、
なんでもいい。ただ僕は死にたい。
でも、思ったほど身体に力は入らなくて、全身倦怠感が付きまとっていた。
どうせ死ねないのなら、ずっとこのまま眠っていたかった。
ずっとこのまま目を瞑って、世界のなかに戻ってきたくはなかった。
照らされなくてもいい。ずっと暗いままでもいい。あの人の、、、晋也の顔が見れなくてもいい、、、
僕はとにかく現実から逃げたかった。
この世界に生きて存在していたくなかった。
痛みを、苦しみを、裏切りを、悲しみを、
そのすべてをもう感じたくなかったのに…。
いやだ。もう戻りたくない。あんな場所には戻りたくない。僕が行きたいのはもっと別の場所なんだ。
もっと遠くて、広くて、温かくて、怖いものなど何もない場所なんだ。
だからもう死なせてよ…。
…もう疲れたから。
…もう苦しいから。
…もう君は笑ってくれないから。
いやなんだ。
…イヤダ…