やがて授業の終わりを知らせるチャイムが鳴った。
グラウンドに散り散りになっていた生徒が集まり号令とともに礼をした後、再び散り散りとなった。
晋也は友達と笑って話しながら校舎の方に向かっている。
「…晋也…。」
僕はすぐに声をかけた。早く君が僕にその顔を向けてくれるように。
優しくて、強くて、面白くて、僕の大好きな君の顔。
だけどその顔は僕の姿をその視界に捉えるとともに暗く歪んでいった。
「おぉ、原野どうした。怪我してるぞ?」
晋也と一緒に話していたクラスの人が話しかけてきた。
「ちょっと親とけんかして…。大丈夫、大したことないから。」
「へぇ〜。原野でも親とケンカするんだ。意外だな。」
「そんなことないよ。…あっ。」
話しているうちに晋也は校舎に入っていった。その足取りは速く、一度も振り返ることはなかった。
でも、きっと君は振り返っても笑ってくれないんだろうな、、、
わかっていた。
僕は要らないってことくらい、、、君がもう僕を必要としないことくらい、、、
わかっていたんだ。でも、それでも僕は君に必要として欲しかった。
君だけには必要とされたかったんだ。せめて君だけには、、、
きっとこんなの僕の我が儘なんだ。
人は嫌いなモノとは付き合おうとしないのは当たり前だ。恋人だって嫌いになったら別れる。そんなの当たり前なんだ。晋也が僕を拒絶したのも当たり前なんだ。
だって、僕は愛されていないんだから。
これまでも、きっとこれからも…。
それなら、君が笑えた方がいい。
僕が居て、君が笑えないのなら僕は君の前から消えよう。僕が、居て君が辛いなら僕は、、、
そうだ、僕は最初からそうだったんだから。最初から一人で生きていたんだから、、、
何も変わらない。ただ、最初に戻っただけ…。
きっと、それだけのことなんだ。
でも、、、
それでも、、、
最後に一度くらい君の笑顔を向けてほしかったな…。