インターホンが鳴ったのはちょうど毎週見ているTV番組が終了したころだった。
受話器を上げ、どちら様ですかと言っても反応がなかった。カメラなんてついている上等なものではなかったので相手を確認することは出来なかった。
俺は不審に思いながらも玄関に向かいドアを開けた。そこには俯いて立っている一人の少年がいた。
「将?」
顔は見えなかったけど、その格好は制服のままで思い当たる人物は将しかいなかった。
将は何も言わずに突っ立っていて、その肩は少しだけ震えていた。
俺はどうすればいいのか分からなくて、とりあえず将を自分の部屋へと連れて行った。
電気をつけて、改めて将の姿を見るとその顔はひどいことになっていた。
頬には大きな青アザが出来ていて、口の端からは血が見えた。
それなのに将は俺の顔を見ながら笑っていたんだ。
「大丈夫か!?将!」
頬を触るとアザは熱を持っていて、熱かった。それなのに将は未だに笑っている。
「将!大丈夫かって聞いてるんだ!」
俺は思わず大きな声を出してしまった。将は驚いて肩を震わせ、先ほどとは打って変わって今にも泣きそうな顔をしていた。
とうとう将の瞳からは涙が溢れ出してしまった。
そして、急に将は狂ったように「ごめんなさい。」と言った。
俺、最悪だ・・・
将に何かあったことは分かっていたのに、こんなに将を怖がらせてしまうなんて、、、
本当に最悪だ・・・
「ごめんな、将。」
俺は将を抱きしめた。そうする事しかできなかったから、、、それ以外にどうすればいいのか分からなかったから、、、
俺、将を護ってやるなんて言ってたけど、、、そんなのただの自己満足だったんだ。
俺には将を護ってやるなんて言う資格なんてなかったんだ。
俺なんかが将を護ってやるなんてこと最初から出来なかったんだ・・・
涙を流しながら謝り続ける将を見て、俺はそう思った。
だから、俺は決めたんだ。