今日もクラスは賑やかで、返ってきた定期考査の結果について騒いでいた。
僕はというと少し残念に思っていた。別にテストの結果が悪かった訳ではない。
むしろ、猛勉強のおかげでいつもよりいい結果出た。
だけど、試験期間が終わったということは晋也の部活が始まるということでもある。
部活が始まってしまえば晋也と一緒に帰ることは出来なくなる。
「はぁ、、、」
僕は思わずため息を吐いた。すると、後から急に抱きつかれた。こんなことをするのは1人しかいない。
「どうしたんだよ、将。テストの点でも悪かったのか?」
「恥ずかしいから離れてよ。少なくとも晋也よりは良かったよ。」
「うっ、、、そんな事言うなよ。これでもいつもより良かったんだぞ。」
「僕が教えてあげたからじゃん。」
「わかってるよ。将には感謝してるって。ありがとうな。」
「う、うん。」
この顔には弱い。塩田君の笑顔は、とても無邪気で僕を照らしてくれる。
この顔を見ると僕の悪態が恥ずかしくなるくらいだ。
「このテストで最後かぁ。この後三者面談で、もうその後は公立と私立の志望校提出か。」
「…三者面談か、、、」
前回あった三者面談は最悪の結果で終わった。予定された日に義父は来ることはなく、仕事が大変だからという理由でずっと先延ばしにしていた。
そして結局学校に来ることが無かった義父に担任の教師が痺れを切らし家に来たのだ。
「お子さんにもう少し構ってあげてはどうですか?」
先生のその一言が義父の気に障ったらしく「家のことに口出しをされる筋合いはありません。」
そう言って追い返してしまった。
そして、その後例の如く義父の怒りは僕に向けられることとなった。
「将、どうかしたか?」
晋也が心配そうな顔をして僕の顔を覗き込んだ。
「ううん、何でもない。」
「辛いことがあったら俺に言えよ。約束だからな。」
「うん、わかってる。僕を護ってくれるんだったね。」
「わかってるならいいけど、、、」
「大丈夫、辛くなったら絶対晋也に言うから。」
だって僕には晋也しかいないのだから…。