僕が検索バーに入力した単語。それは「奨学金制度」。それに「○○県私立西高校」という単語を足して検索してみる。
これで西高が奨学金制度を適応していれば、僕も奨学金制度を使って西高にも行ける。
表示された西高のホームページの受験についての要項のボタンをクリックする。
じっくりとそれを読んでいく。
すると、そのページの最後の方に書いてあった。
「本校はより多くの有望な生徒を確保するために奨学金制度を実施しています。」
その言葉を見て僕は舞い上がった。これで僕も西高に行ける。
晋也と同じ高校に行くことができる。そう思っていた、、、
その後のことなど知る由もない僕は、このことでさらにやる気を出して勉強に励んだ。
晋也がずっと悩んでいた数学の問題も、教科書を見ても分からないと言っていた理科の問題も根気よく教えた。
晋也と一緒に居れる時間が長くなって、嬉しかったから。この時間がずっと続けばいいと思った。
高校になっても、僕が晋也に勉強を教えてあげて、晋也が僕を護ってくれる。
そんな関係がずっと続けばいいと思った。
そう思っていると、晋也の家にある大きな壁掛け時計の時間を知らせる音が鳴った。
「じゃあ、そろそろ僕帰るね。」
そう言って僕は立ち上がった。そう、僕は帰らなくてはならない。高校でもこの関係を続けるためにはあの場所に帰る必要があるのだ。
「あぁ、もうこんな時間か…。ごめんなこんな時間まで。送っていこうか?」
「いや、いいよ。大丈夫だから。」
「そっか、じゃあ今日はありがとうな。めっちゃ分かりやすかった。」
「晋也のためならいつでも教えるからどんどん聞きに来てよ。待ってるから。」
「わかった。じゃあまた明日な。」
そして僕は晋也の家を出て、帰路へとついた。その足取りは心なしか、少し軽い様に感じた。