「今日も野球部居ないんだ…。」

裕也はいつもより広く使えるグラウンドを見てそう呟いた。

『あぁ、そうだな。』

俺はできる限りそっけなく答えた。それはきっと俺が嫉妬していたから。

『そういえば、竜也がこの前野球部は合宿に行くって言ってたな。』

「ねぇ、良太。それっていつまでか知ってる?」

『さぁ、いつまでだったかな。』

嘘だ。本当は知っていた。竜也は4日間と言っていたから明日が最終日のはずだ。

でも言いたくなかった。

きっと裕也はあの先輩を探している。野球部で小柄なあの先輩を…。
名前は、、、確か竜也が貴博君とか言ってたな。生徒会もしているから俺もなんとなく知っている。

いや、多分あの人が生徒会なんかしていなくても、俺は知っていただろう。

だってあの人は裕也が大好きな人だから…。裕也の視線の先にはいつもあの先輩がいたから…。

「明日は来るかなぁ。」

裕也は少し悲しそうな顔をして、空を仰いだ。ちょっとだけ泣きそうだった。

何でだよ。あの人は今ここに居ないのにお前はあの人のことばかり考えるんだよ。いつ帰ってくるかもわからないのに何で、いつもあの人のことばかり考えるんだよ。

俺は

俺はずっとここに居るのに、、、
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