「なぁ、竜也。お前そんなに先輩のこと好きか?」

「え!?好きだよ。かっこいいし優しいし野球うまいし。それに一緒に居たいって心から思う。」
そうなんだよな。結局理由なんてわからない。
顔が好みなのかもしれない。性格がいいのかもしれない。でも、そんな事よりも一緒にいたいと思う。離れたくないと思う。

傍に、、、手が届く範囲にいてほしいと思う。ずっとこの先も…。
きっと裕也は俺のことを振り返ることはないけれど、それでも一緒に居たい…。

「なぁ、良太はあの時あんなに熱くなったんだよ?」
竜也は何げない様子で俺に問いかけてきた。この前俺が感情をむき出しにした理由を、、、

俺が黙っていても竜也は何も言わずに俺の顔を覗き込んだまま歩みを止めてじっとしている。

こいつなら話してもいいのかもしれない。ある意味俺と同じ境遇にいる竜也になら…。

そう思っても俺には言いだす勇気がなかった。
本当の自分を相手にさらけ出すことが怖かった。自分の弱さが醜く思った。

「俺はずるいから、、、答えない。」

「は!?ずるくね?教えろよ。この前俺全部話したじゃんか。教えろって!」
それでも俺は黙っていた。何も答えずに歩きだす。

「わかった!お前裕也のことが好きなんだ。だから俺が裕也の悪口言った時に怒ったんだ。そうだろ良太?」
以外に竜也の勘はいいんだなと思った。しかし、それは多分冗談で言っているようだった。
そう言ったあとも竜也は何が理由かを考えているようだった。

「本当にそう思うのか?」

「わかってるよ。冗談だよ。そっちが教えてくれないからだろ。なぁ、理由位教えてくれてもいいだろ?」

「そうだよ。俺は裕也が好きなんだよ。お前が先輩を想うのと同じ位、、、」

「へっ?お前それ本当か…?」
竜也は驚いた顔をして再び歩みを止めた。俺は構わず脚を進める。

「俺はずるいんだ…。だから、、、」
信じるかどうかはお前次第。俺はずるいから自分では真実かどうかを告げない。
俺はずるくて弱いから、、、

「そうか〜。良太は裕也が好きだったのかぁ。意外だな。今まで全然気づかなかった!」
竜也は俺の言葉の意味を理解して言っているのか、そもそも聞いていないのかわからないけどそのまま続けた。

「俺たち負け組だな!2人そろって振られ組〜。」
夕焼けに響いた竜也の声に微笑みながら歩みのスピードを落とした。

道の隅には蕾のまま力強くアスファルトの間から一輪の花が生えていた。







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