いつもの公園。あのベンチに先輩と2人で座っている。陽は沈み辺りはもう薄暗くなっている。
しかし、いつも切れかかって、あの日に消えた外灯は取り換えられたのか煌々と光っていた。

「先輩、本当に大丈夫?試合の後で疲れてるんじゃ…?」

「大丈夫。今日は裕也とずっと一緒に居たい気分だから。」
すると、先輩は僕の方にすり寄ってきて手を握ってきた。僕もそれを受け入れてしっかりと握り返す。

「先輩、今日かっこよかった。いつもかっこいいけど、それ以上に…。」

「ありがと、今度は裕也の試合見に行くからな。」
先輩はそう言って、少し頬を紅らめて笑った。その顔をみて思い出した。

あの日見た夢。バッターボックスに立つ先輩がこちらに笑いかけている映像が頭に浮かんだ。

「どうした?何か考え事?」
先輩がちょっと心配した様子で僕の顔を覗き込んできた。

「この前見た夢のこと思い出して…。ああいう夢ってドラマだったら正夢になるから、ちょっと期待してたのに。」

「なに?その夢ってどんなの?」

僕はあの日見た夢の内容を先輩に話した。バッターボックスに入った先輩が笑っていること。
2ストライクのところで夢から覚めてしまったこと。

すべてを話し終えると先輩は不思議そうな顔をして首を傾げた。そして言った。

「別に今日とは限らないじゃん。それはまだまだずっと先のことかもしれないし。
それに俺なんか毎日のように裕也の夢見てるよ。」
先輩は笑いながら言った。

そうだ、僕はこれからも先輩の傍にいることができるんだ。これからいろんなことを先輩と一緒にやるんだ。
この前の夢は、その中のたった一部なのかもしれない。そう思うと自然と嬉しくなってきた。

「あ〜、喉渇いた。」
先輩が俯きながら呟いた。

「僕、買ってくるから先輩ここで待ってて。」
そう言って僕は紅く染めた頬を見せないように走って行った。

僕がポカリとコーラを買って戻ってくると先輩は目を閉じうつらうつらとしていた。

初めて見た先輩の寝顔は、試合中と同じ人とは思えないほど可愛かった。

「やっぱり疲れてたんだ…。」

僕は寝たままの先輩にそっとキスをした…。






[戻る]
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -