「良太〜。ちょっと待てよ。」
夕焼けの風景の中1人で歩いていると呼び止められた。俺は足を止め振り返った。

「良太、歩くの速い。ちょっと位待ってくれてもいいんじゃねぇの?」
竜也は俺に嫌味っぽく言った。竜也は苦笑いしながらこちらを見ている。

「やっぱ、無理だったな。まあ俺は最初からわかってたけど…。」
そう言うと竜也は1つ溜息をついて視線を前に戻した。

「……俺もわかってた。まぁ悪あがきしてもいいじゃねぇか。」

―――それは数日前のことだった。

部活が終わって帰ろうとしていると急に竜也から呼び止められた。振り返った俺に竜也は「時間ある?」とだけ聞いて俺が返事をする前に引っ張って行った。

「良太って、裕也と仲いいよな?」
そう聞かれて俺は即答することができなかった。俺たちってどうせ『親友』なんだろうな。とか思ってしまった。

先輩と裕也のことを応援するって決めたのにな…。

そんな事を考えていると竜也がしたから覗き込んできた。

「良太、大丈夫か?お前がそんな顔するの初めて見た…。」
そうだろうな。俺はずっと気持ちを出すことを極力抑えてきたから。特に裕也のことについては…。

「大丈夫。ちょっと部活後で疲れてるだけだから。で、何か用?」
竜也は納得していない様子だったが、そのまま言葉を続けた。

「今度の日曜日裕也と遊ぶ約束してくんない?それとも部活ある?」

「いや、遊ぶ約束もする予定ないし、生憎だが部活もその日は休みだ。」

「そこを何とか!ちょっと困ることがあるんだよ。」
予想はできた。コイツが裕也に対して何かしたいんだったらあの先輩がらみだ。
それに今度の日曜日って言ったら野球部の試合だし、、、
(裕也に散々聞かされたからな…。)

「…先輩のことか?」
俺がボソッと呟くと、竜也は驚いている様子で大きく目を見開いていた。

「…な…何で知ってんの?あっ、裕也か。」

俺は竜也の言葉に声を荒げた。

「違う!裕也は人の秘密を簡単にべらべらしゃべったりする奴じゃない!…お前を見てたら直ぐ分る。」
思わず声を荒げてしまったのを何とか抑える。竜也はさらに驚いているようだった。

…竜也を見ているとイライラする。自分の気持ちを伝えることができて、俺が到底できないような事を簡単にやってのける。

これはただの八つ当たりだとわかっている。わかっていながらこんなことを思っている自分にそれ以上イライラする。

(俺ってホント弱い奴だな、、、)






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