「せんぱーい!」
振り返ると裕也が大きく手を振りながらこちらに走ってきた。
俺のところまで来ると息を切らしながら俺に笑顔を向けた。顔が赤くなっている。

「もうそろそろ試合ですね。」

「うん、あと一週間!」

そう、もう最後の試合が近づいていた。
一週間前に終業式を終えた今夏休み真っ盛りだ。最後の追い上げでこの頃は毎日遅くまで練習している。
サッカー部も例外ではないようで野球部と変わらず遅くまで練習している。

陽が西に傾いて赤く染めている町並みを歩きながら俺は裕也の横顔を見つめた。

(よかった。裕也が笑ってくれるようになって。この笑顔の傍にいれて…。)

「どうしたの先輩?」
急に裕也がこちらを向き聞いてきた。

「いや、相変わらず裕也はかわいいなと思って。」
そう言うと裕也は赤い頬をさらに赤くして照れくさそうに笑った。

「先輩コンビニ寄ろう!喉渇いた〜。」
そう言って裕也は近くのコンビニへと走って行った。俺も後から追いかける。
コンビニに入るとクーラーの冷たい風が吹き抜けた。裕也はもう飲み物を選んでいる。
裕也はコーラを、俺はポカリを選んだ。

店の外に出て1口飲んだ。横で裕也が大げさに「生き返る〜。」と言っている。
今日は2人とも徒歩で来たので2人並んで飲みながら帰る。

しばらくすると裕也の視線がこちらに向いていることに気付いた。

「どうした?」

「やっぱりコーラよりもポカリの方がよかったかも…。」
裕也は俺が持っているペットボトルを見た。

「裕也は優柔不断だなぁ。いいよ残りは裕也にやるよ。」
俺は持っていたペットボトルを裕也に差し出した。それを取って裕也は嬉しそうに口にする。

「おいしい。先輩と間接キス、、、」
裕也がそんな事を言うから俺の顔はみるみるうちに赤くなっていく。

今まで何度かキスをしてきたけど改めてこんなことを言われると何だか恥ずかしい。

「じゃあ裕也のも。」
俺は強引に裕也の手からコーラのペットボトルを取ると口に含んだ。
俺は、炭酸は苦手だったが幸せな味がした…。






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