俺が先輩に告白してから俺と先輩の関係はぎくしゃくなっていた。
それはやっぱりと言うか仕方のないことだと思った。今まで後輩としてしか見ていなかった奴から告白されたのだから。しかも男に、、、

こうなることはある程度予想はできていた。しかし、それでも割り切れないものがあった。
気持ちを伝えたことを後悔した。だって先輩のあの笑顔を奪ってしまったのだから…。

先輩が自分と同じ同性愛者であることには驚いた。しかも、裕也のことが好きだったなんて…。

先輩と裕也の関係も俺の所為かうまくいっていないようだった。
しかし、そんなことは考えていられなかった。今の俺に人のことを考える余裕はなかった。

俺は心にぽっかりとあいた穴に埋め合わせるものを持っていなかった。
なぜなら、俺の心にはいつも先輩のことでいっぱいだったから…。先輩さえいればいいと思っていたから、、、

今日も部活に行かずにボーっとしながら帰路につく。吹き抜ける風は今の俺の存在を消してしまいそうだった。

もう少しで夏も終わる。そして、いつの間にか先輩との繋がりも消えていくのだろうか…。

「…先輩。」
俺は小さく呟いた。この人の存在が俺の中で一番大切なものだと改めて思う。
それなのに裕也の前であんな嘘ついて、かっこつけて俺何やってるんだろ…。

泣けばよかった。見栄なんて張らずに思いっきり裕也の前で泣いてやればよかった。
そしたら俺の気もすんだのかもしれない。裕也の同情も引けたのかもしれない、、、

いや、ホントはそんな事じゃない。こんなカッコ悪いことやりたくない。
でも、それでも先輩が俺の傍に来てくれるなら、、、それで俺の気持ちが先輩に届くなら俺はどんなことでもする。

どんな惨めなことでも、それでずっと先輩と一緒に笑い続けられるのなら。

でも、俺はそうすることができなかった。
あの時の裕也の眼がまっすぐ俺に向いていたから、その姿に先輩を重ねてしまったから…。

「俺って馬鹿だよな、、、ホント馬鹿だ。」
つぶやいた言葉はそのまま小さく風の中に消えた。







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