「はぁ〜練習きつすぎだよな」
少年はサッカーのユニフォームから制服に着替えながら言った。
「監督厳しすぎるんだよ!けど、裕也今日の練習中に何か考え事してただろ?」
「わかった?」
この少年の名前は石田裕也。サッカー部に所属している。
「わかるよ。今日の裕也パス出した時の反応がいつもより悪かったし。」
この少年の名前は入船良太。裕也の小学校からの友達で裕也と同じくサッカー部に所属している。
「やっぱり良太には隠し事はできないなぁ。」
「で、何か悩み事?」
「悩みっていうか…。」
こんなこと言ったら良太変に思うだろうなぁ。
「?」
「なんでもない!さっ、もう帰ろうか!」
「なんでもないならいいけど…。何かあったら相談してくれていいからな。」
「わかってる!」
はぁ〜悩みでは無いんだよなぁ。けど…。憧れてるって言うのも恥ずかしいし…。しかも、サッカー部の先輩でもなく野球部の先輩に憧れてるなんておかしいよな。
裕也があこがれている相手は野球部の3年生で名前は本多貴博。
3年生とは思えないほど背が低く、童顔だ。
それでいて、そこそこ野球がうまい。
裕也が貴博のことを初めて知ったのは裕也が1年生の時だ。この学校は12月で生徒会の3年生が引退する。
その時委員長に新しく立候補したのが貴博だった。
その時は「3年生なのにあんなに背が低いんだ。」位にしか思っていなかったが、
たまたま野球部の試合を見た時に誰もが絶対に取れないだろうと思うヒット球を必死に追いかけ取ったのだ。
その泥だらけになった貴博の姿を見て裕也は憧れのような感情を持つようになった。
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